チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年5月4日
ラサ:チベット人青年が一人、地震義援金に対する要求を叫び、逮捕される
パユル、5月4日
http://phayul.com/news/article.aspx?id=27233&article=Lhasa%3a+Tibetan+protester+detained+for+criticizing+earthquake+relief+work
ダラムサラ:日曜日(5月2日)一人のチベット人が、チベットの首都ラサで中国政府の地震義援金の取り扱いに対する要求デモを行ない、その場で逮捕された。
サンドゥップ・ギャンツォ28歳は、巡礼者たちで混雑していた、ラサのツクラカン(ジョカン)前で「ダライ・ラマ法王をチベットにお招きしよう!」「パンチェン・ラマの解放を!」と歌い上げた。
さらに彼は「困難の中にある、キグドの遊牧民社会に対し、外国から贈られた物資や義援金を、間違いなく現地の人々に届けるように」という要求も行なった。
彼は直ちに公安職員により取り押さえられ、連れ去られた。
どこへ連行されたかは不明という。
サンドゥップ・ギャツォは青海省海南チベット族自治州の遊牧民の家に生まれた。
彼はかつて、ダラムサラにある「シェラップ・ガツェル・リン(新しく亡命してきた若者のための学校・ソガロプタ)」の生徒であったことがある。
サンドゥップは2007年11月インドに亡命し、この学校で一年間学んだ。
2008年3月、彼はネパール・チベット国境のダムを経由し、チベットに帰ろうとした。
しかし、国境でダライ・ラマ法王の著書を数冊持っていたのを見つけられ、逮捕され、シガツェの公安に一カ月間拘置された。
その後、彼はラサのダプチ刑務所に送られ、そこに6カ月収監された。
2008年10月、解放され、故郷に帰っていたという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)