チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2010年3月24日

ナクチュ県ディルで小学生が抗議デモ

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3月24日付けphayul.comによれば、3月22日、チベット自治区ナクチュ県ディル(比如)で、20人以上の小学生による、中国政府に対する平和的抗議デモが行われた。
http://phayul.com/news/article.aspx?id=26978&article=Primary+school+students+stage+protest+in+Kham+Driru

この情報は内地から連絡を受けた亡命中のガワン・タパ氏がパユルに伝えたもの。

タパ氏によれば生徒たちはデモの間「ダライ・ラマ法王に長寿を!」「チベットに自由を!」「中国はチベットから出ていけ!」「ダライ・ラマ法王のチベットへのご帰還を!」等のスローガンを叫んだという。

小学生たちはやがて保安部隊に取り囲まれ、彼らの親たちは公安に呼び出され尋問を受けているという。

しかし、生徒たちは逮捕されたのか、今拘置所いるのか等は不明。

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小学生のデモ!とは。
これが初めてかというと、確か2008年にはペンボだったかであったと思う、、、?
それにしても、これが本当なら世界でもまれな事件だ。
このところ、アムドでは中学生によるデモが連続して発生していた。
当局は学校の校長や県の教育課の責任者をクビにしたという。
もっとも教育課トップの中国人はクビになってないらしい。
学校の先生ほか責任者に圧力を掛けようというわけだ。

このディルでは2008年の夏、地元のいくつもの僧院が「愛国再教育キャンペーン」に抵抗し、逮捕者もでている。
http://tibetoffice.com.au/update-tibet-1-july/
http://www.tibetcustom.com/article.php/20080330120701589

私は偶然このディルの近くにある村出身の子供を知ってる。
その子の村から町の小学校までは峠を越え、歩いて二日かかるという。
それでも両親は沢山のお金を払いその子を町の寄宿舎に入れた。
学校には漢人の子もいたがチベット人の方が多かったという。
彼が言うには「漢人の子とチベット人の子が喧嘩するといつも先生はチベット人だけをなぐるんだよ。チベット人の子はいろいろ差別される。それが嫌だった。愛国教育というのも毎日あった」とか。
それで彼は4年生までで学校をやめた。
その後彼はラサのセラ寺に見習い坊主として入れてもらい数年をすごした。
そして、14歳のとき自分で決心しインドに亡命した。

小学生だって嘘や差別には敏感だ。
小学生でも町で何が起きているかはちゃんと知っており、チベット人としてやるべきことも知っているということか。
チベットの戦いは弾圧が続く限り100年経っても終らないであろう。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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