チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年8月6日
広島 8月6日
今日は広島に原爆が落とされた日。
私は広島の出身で、数年前に亡くなった母親は被爆者だった。
まだ、両親といっしょにいたころ、8月6日の朝8時15分には必ず家で黙とうの時間があった。
母は時々思い出したようにその日のことを話した。
爆心地からはおそらく二キロほど離れている宇品というところの病院で働いていたという。正規の看護婦ではなく女学校からの動員組だった。
「ピカドン」が投下されたとき、母は運よく窓際にいなかったためやけどは免れた。
ガラスの破片が身体の何箇所かに刺さっただけだった。
本人は大丈夫だったが病院には重症患者が次々担ぎ込まれ、皮膚の垂れ下がった人が大勢押し掛け地獄のようになったという。
川が死体で埋まったようす。
黒い雨が降ったことなど、を話した。
話すのがいかにもつらそうで、いつも長くは話さなかった。
それで私も反核、反戦の人になったようです。
YouTubeの映像はかつて私が投稿した「チベット内における中国の核実験」
広島原爆投下
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)