チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年7月20日
聖地チベット -ポタラ宮と天空の至宝展
福岡での開催が終わり、続いて札幌、東京、大阪、仙台にて2010年5月30日まで開催されるという
「聖地チベット -ポタラ宮と天空の至宝-」展
嘗てのイギリス、フランス、スペイン等々も同じことをしたではないか、と言うならまだしも、その反対に中国の骨董品が海外でセリにかけられたことに大袈裟な抗議とかしたりする中国が、いつもの洒落のつもりか、日本で一級の盗品展を開くとは、それを見て「ほう中国はすごいなー」とか言わされる、なめられた日本人が増えているという。
日本にいないから大きなことは言えないが、これはまさにチベット問題を日本人に知らせるために中国が用意してくれてる企画に違いないと思う。
すでにそのためのサイトも立ち上がっている、
http://www.seichi-tibet.com/
120万人のチベット人を殺害して手に入れた品々だと多くの日本人に知らせてほしい。
強烈な宗教弾圧をやりながら、一方で商売のために盗品の仏像を目せびらかせて入場料をとるとは、流石中国人の知恵には脱帽です。
以下は「チベット我が祖国」の中で法王自身が語られるノルブリンカ脱出直前の状況だ。
「絶対必要なもの以外は、何も持って出る時間的余裕がなかった。私たちは夜明け前にラサから充分に遠ざかっていなければならなかったのである。閣僚たちは、私の役所の印璽と内閣の印鑑を、それから、たまたまノルブリンカ離宮にあった若干の文書類を持った。国家関係の公文書の大部分は、内閣の政庁、またはポタラ宮殿にあった。それらは放棄せねばならなかった。私たちのあらゆる個人的な持ち物もまた同様に放棄せねばならなかった。私が持参できたものと言えば、ラマ法衣の着替え一、二枚だけであった。私たちは、資金を持ち出すために国庫に行くことはできなかったし、また、私が継承した測り知れないほどの財産である宝石や財宝を持ち出すためポタラ宮殿に行くこともできなかった」
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)