チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年7月4日
ジェツン・ペマ女史
明日東京で明後日、法王のお誕生日には広島で女史の講演があります。
是非参加されるとよろしいと思います。
ジェツン・ペマ女史東京講演会
「幸せになる」 ヒューマン・バリュー(人間の価値)と子どもの教育
2009年7月5日(日)18:30~/会場:国立オリンピック記念青少年総合センター国際交流棟 国際会議室 詳しくは
http://www.tibethouse.jp/event/2009/090705_jpema.html
ジェツン・ペマ女史 広島講演会
「ヒマラヤを越える子供たちの未来と平和」
Not your group, city, or nation first, but the world first.
2009年7月6日(月)18:30~/会場:広島県民文化センター/入場無料(要・参加登録)詳しくは
http://www.tibethouse.jp/event/2009/090706_jpema.html
参考:毎日新聞7月2日のインタビュー記事
http://mainichi.jp/select/world/news/20090704k0000m030060000c.html
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この亡命チベット社会で一般名詞としてアマラ(お母さん)と呼ばれる、ジェツン・ペマ。
間違いなく、この社会のファースト・レディーの席を長年保ち続けておられます。
内の子供たちがみんな小学校一年生から高校3年生までずっとTCVに通っていたこともあり、アマラとはわりと親しくお付き合いさせていただいています。
親しくと言っても、相手は畏れ多いお方ですから、いつも呼び出されると、こわごわと参上するわけです。
建築の仕事もたくさんやらされました。
最近関わってる「TCV大学/Dalai Lama Institute of Higher Study」もアマラに町でハイジャックされて家に連れて行かれ、有無を言わさず承諾させられたものです。
この社会では法王の次に逆らい難い人でしょう。
それほど、社会全体にあまねく光を与えたことを認められた、えらい方なのです。
はっきり言って、同じただのNGOであるチベット亡命政府よりも年間予算はTCVの方が多いいのです。
年間約15000人の生徒の面倒を見ている。
そのほとんどはチベットから亡命してきた子供たちだ。
全寮制だから学校は生活の場ともなり、どこでも楽しい子供村を形成する。
保護者のいない子にはほぼ全員にスポンサーが付く。
スポンサーがいなくてもただで教育を受け生活ができる。
これらすべて世界中からの寄付によるのだ。
アマラは何十年間も世界中を駆け回り子供たちのためにお金を乞い集められたのだ。
もちろん、SOSというドイツの大きな団体が最初から強力にサポートしてくれている。
しかし、新しく教育を受けようと亡命してくる子供は多い年には年間1000人にも上った。
次々と新しい学校を建てないといけない。
アマラは世界を回って、もちろん法王の妹という特権的地位もうまく使い、ちゃんとお金を集めて来られたのだ。
数年前にTCVの代表の地位を降りられた。今建設中の大学が最後の仕事だおっしゃっている。きっと、次は総理大臣か?
ジェツン・ペマ女史、サンドン・リンポチェ(首相}、テンジン・ギェツェ氏(前宮内庁長官)の三人はチベット青年会議創設時の中心メンバーだったのだ。
しかし、80年代に入り法王の、今言うところの「中道路線」に従か、従わないかを巡り、当時の青年会議を握っていたラッサン・ツェリン氏、ジャミヤン・ノルブ氏達と対立した、その後もこの構図は、この社会に変わらず引き継がれている。
最近、と言ってももう数年前ですが、旦那さんの大臣テンパラ氏のお子さんがイラン戦争で戦死され、アマラの娘さんも脳膜炎で亡くなられるという悲しい話がありました。
アマラはそれ以後すこし老けられたように思います。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)