チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年4月26日
ラプラン・タシキル僧院から僧侶一人が逮捕される/UCSBにおけるダライ・ラマ法王のお話
TCHRD24日付リリースによれば、
昨日、学生たちのデモが起きたと同じサンチュのラプランで、
http://www.tchrd.org/press/2009/pr20090424a.html
ラプラン・タキシル僧院のケルサン・ギャツォ36歳が4月13日、警察に逮捕されたという。ケルサンは昨年4月9日にラプラン僧院を訪れた外国人記者団の前で中国の弾圧を訴えた僧侶グループのうちの一人であった。
逮捕後の行方は不明。昨年同じくその時訴えを行ったタプケとツゥンドゥの行方も解らないままだという。
昨年彼らが勇敢にも外国メディアの前にチベットの国旗を持って躍り出て、事実を訴えたシーンは世界中に流れました。僧侶たちの顔が恐怖と勇気で引きつっていたのを思い出します。
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ダライ・ラマ法王がUCSB(カルフォルニア州立大学サンタ・バーバラ校)で約5000人、満員の聴衆を前に話されたことをphayulより抜粋してお知らせします。
講演の題は「現代に向けた道徳」
http://phayul.com/news/article.aspx?id=24533&article=Dalai+Lama+speaks+to+sold-out+UCSB+crowds
何よりも今回強調されたたことは「普遍的責任感・平等観a sense of global responsibility and equalityの必要性.」であり、
「<我々とか彼ら>という概念はもはや妥当ではない。我々は世界を一つの塊(one entity存在、統一体)、唯我々(just we)と見るべきなのだ」と語られたという。
まず、拍手の鳴り止まない満場の聴衆を座らせた後、
「親愛なる兄弟、姉妹たちよ、、、私が兄弟、姉妹と言うとき、私は本当にそのように感じる、、今、我々に必要なのはこの心だ」
「世界は、地球温暖化から宗教間紛争まで様々な不和に直面しているが、これらの問題は自分達のことしか考えない人々によって作り出されたのだ」
「あまりに多くの人々が物質主義に侵され、所有物や権力に執着する」
「我々の内的価値、心にはほとんど関心が払われない」と語られ、
法王は「人生の中で大事な時期には、常に私は普遍的価値と慈悲を自信と癒しの源として来た」と話された。
「自信が増加すればそれだけ怖れとストレスは減少する。
心が開かれ、他の人々と繋がりを持つことができる。こうして健康的な社会が築かれるのだ」
「一生の間に私はあまりに多くの暴力を見てきた。革命と言う名の暴力もあった」
「お金は彼に慰安をもたらさない。ペットも彼に内的平安をもたらさない。所有物も彼に安楽をもたらさない」
「己に内的平安をもたらすものは自分自身の内的価値、慈悲と寛容の精神のみなのだ」
「我々は社会を変え我々の考え方を変えるための長期的方策を考えなければならない」
等、語られたという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)