チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年4月7日
サンドン・リンポチェ カンゼのチベット人に耕作を勧告
<一人で立った抗議者が逮捕、三人の若者が殴打、(サンドン・リンポチェ)チベット人に耕作開始を勧める>
ダラムサラ、4月7日:ダラムサラのドゥンドゥップ・タシが現地からの情報としてphayulに語ったところによれば、4月5日日曜日、カンゼで一人で抗議を行った男が中国の警察に逮捕された。
21歳のジャンパ・ソナムはカンゼ僧院に近いクンブン村にある政府の建物の前で「ダライ・ラマ法王に長寿を!」「チベット独立!」とスローガンを叫んだ。
直ちに警官が現場に現れ、彼を滅多打ちにした。
(現地からの)電話では「それから彼は車にのせられ、どこかに連れて行かれた。行先は分からない」と言っていたという。
もうひとつの事件として、南インドのセラ僧院の僧ゲロンの伝えるところに依れば、3月23日の夜、同じくカンゼで中国の警官により三人の未成年が暴行を受けたという。
ドカム村出身の12歳ドゥンドゥップ・リンチェンと二人の仲間は「チベットに自由を」「ダライ・ラマ法王に長寿を」と手書されたポスターを学校に張り出したという。
三人は袋叩きにされ、学校を10日間休学させられた。子供たちの家族は当局により罰金を科せられた。
カンゼのチベット人地区に住む農民たちは依然、当局の耕作開始命令を無視し続けている。
しかし、亡命政府首相サンドン・リンポチェは昨日(4月6日)カンゼのチベット人に向け「中国当局の命令に従い、耕作を開始するように」との勧告を出した。
Voice of Tibetのラジオ放送の中でリンポチェは「このボイコットは非暴力の運動であり賞賛に値する。しかし、これはチベット人に対する暴力的弾圧を誘発する恐れがある。
私はチベット人たちに耕作を始めるように勧める」と語られた。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)