チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年3月23日
法王の南アフリカ訪問ビザが拒否された
以下法王のビザを南アフリカ政府が中国に圧力に屈して発給しなかったという話です。
今日はこのニュースをBBCも流しています。
以下はphayulの記事をjiro shiwaku 氏が翻訳されたものです。
【phayul】ダライ・ラマ法王,南アフリカへの渡航を拒否される:活動家
http://www.phayul.com/news/article.aspx?id=24260
AFP [2009年3月22日 日曜日]
ヨハネスブルグ – ニュー・デリーの南アフリカ大使館は,ヨハネスブルグの平和会議への出席を理由に,亡命中のチベットの精神的指導者ダライ・ラマ法王の渡航を拒否した。日曜日,活動家が伝えた。
(ノーベル平和賞を受賞された)ダライ・ラマ法王は,(同じ)ノーベル平和賞受賞者たちと合流する予定だった。2010年のワールドカップでホスト国を
勤める南アフリカの準備の顧問として,人種差別と戦うためのサッカー大会としてのコンセプトを討議するため金曜日に会議を開くネルソン・マンデラ氏とフ
レデリック・・ウイレム・ド・クラーク氏(FW de Kerk)氏も含まれている。(jiro意訳)
(*)フレデリック・ウィレム・ド・クラーク
アパルトヘイド政策廃止のために戦い、人種差別の関連法を廃止させた(1991年)。ネルソン・マンデラとともにノーベル平和賞を受賞。マンデラはド・
クラークの政策を引き継いだ。
南アフリカのチベット人の友人たちは,声明で,ダライ・ラマ法王は,旅券(の発行が)を拒否されていると述べた。つまり,ニュー・デリーの国家の最高意
思決定機関が,ダライ・ラマ法王に対し,渡航を延期するように求めたというのだ。
「私たちは,法王様が平和会議に参加なさらないことが,今回の会議を見せかけのごまかしにしてしまうと信じている。」と,団体は声明で述べた。
日曜日,独立系新聞社が,プレトリアの中国大使館の中国外務参事官Dai Bingが中国政府はこの渡航を拒否するよう南アフリカに対し強く求め,(ダライ・ラマの入国は)両国間の関係を損なうと警告したと述べたと伝えた。
Dai氏は,新聞社に,ダライ・ラマ法王が渡航するには「不適当な時期」であると述べた。なぜならば,チベットの中国支配に反対して起こした騒乱が失敗し,この地域においてもっとも尊敬されている人物であるダライ・ラマ法王が亡命した50周年記念のすぐ後だからである。
新聞は,大司教Desmond Tutuとド・クラーク氏のスポークスマンの言葉を引用した。ダライ・ラマ法王が南アフリカに来れないのであれば,自分たちの会議への参加を再考するというのだ。
「私たちは,中国の圧力に対し,恥知らずな屈服をした。私は,とても苦悩すると共に恥ずかしい」と,Tutu氏は新聞に述べた。(★)
ド・クラーク氏は,ビザの発給について大統領と外務大臣に対し懸念を表明したと,彼の財団のスポークスマンであるDave Steward氏は言った。
「もし,ビザが発給されなかったら,ド・クラーク氏をはじめとする他の受賞者たちも,この会議への加を再検討するだろう。そして,これは南アフリカやワールド・カップにとっても良いことにはならないだろう」
(以上,和訳終わり)
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BBCによれば、ツツ大司教は「法王が出席しないなら私も出席しない」と表明しており、中心人物のマンディラ氏は態度保留のままとのことです。
もしも参加者の内大多数が参加しないということになれば、この平和会議自体が中止になる可能性が高いとコメントしていました。
このことなど、法王が先の記者会見でもおっしゃっていたように、「中国は私の訪問先の国に圧力をかけることにより、チベット問題を国際化することに貢献してくれている」ということでしょう。
ツツ大司教は「ダライ・ラマ法王を支援するための10万人署名運動」
http://www.thecommunity.com/publish/home/Archbishop-Desmond-Tutu-Statement.phpも行っている法王の親友です。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)