チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2015年9月10日
再びンガバで僧侶が1人デモ
RFA(ラジオ自由アジア)などによれば、昨日(9月9日)現地時間正午頃、アムド、ンガバ(རྔ་བ་རྫོང་རྔ་པ། 四川省阿壩藏族羌族自治州阿壩県阿壩鎮)中心街の路上でンガバ・キルティ僧院僧侶ジャンペル・ギャンツォ、21歳が頭頂にダライ・ラマ法王の写真を掲げながら、「チベットには自由が必要だ!ダライ・ラマ法王に長寿を!」と叫びながら行進した。
間もなく現れた警官隊により、彼は拘束され連行された。これを目撃した多くのチベット人たちがチベット独特の雄叫びを上げ、彼に支援の意を示すとともに、荒々しく拘束する警官たちに対しては抗議の意を示したという。
「彼は行進を行いながら、中国政府のチベット政策に抗議するスローガンを叫んだのだ」と地元の人はいう。
彼を拘束したのち、警官が彼の僧坊に入り捜査を行ったという。
僧ジャンペル・ギャンツォはンガバ県メウルマ郷第3村の出身。父の名はスルヤ、母の名はタレ・キ、男2人、女1人兄弟の内の末っ子。幼少時よりンガバ・キルティ僧院の僧侶であった。
ンガバ県では先月20日に若い女性であるドルジェ・ドルマが、また前々日の7日には僧ロプサン・ケルサンが同様のデモを行い拘束されている。
チベット自治区のラサでは8日に「自治区成立50周年記念式典」が行われ、チベット族居住区一帯で警戒が強化されている。「記念式典」への抗議の意味もむくまれていると思われる。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)