チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年9月25日
焼身・死亡した僧カルマの遺体を秘密裏に火葬したことに抗議するデモ
昨日24日、ダラムサラでは先の8月6日にカトマンドゥのボドゥナート仏塔傍で焼身抗議を行いその場で死亡した僧カルマ・ゲンドゥン・ギャンツォの遺体をネパール当局がチベット人側に引き渡すことなく、秘密裏に火葬したことに抗議するデモが行われた。
デモはチベット青年会議ダラムサラ支部、チベット女性協会ダラムサラ支部、SFT(Students for a Free Tibet)合同主催で行われ、先頭集団が白い布と空の骨壷を手に持ち行進した。この白い布と空の骨壺はネパール当局が遺体を引き渡さなかったということを象徴しているとされた。
この日は彼が焼身、死亡して49日の命日であった。参加者はデモの最後にバター灯明を灯し、祈りを捧げた。
チベット青年会議ダラムサラ支部のテンジン・ツンドゥは「ネパールは中国の政治的圧力の下でも、チベット人との文化的繋がりを忘れるべきではない。チベット難民を受け入れてくれたことには感謝するが、これは現在のチベット難民に対する弾圧を非難することを妨げることにはならない」と述べた。
ネパール当局は今年3月、同じくボドゥナート仏塔傍で焼身、死亡した僧ドゥプツェの遺体を秘密裏に火葬している。今回と同じく、この時にもチベット人側は何度も遺体の引き渡しを要求していた。
「ネパール政府がこのような卑劣な行為を行ったのは今回で2度目である。カルマ・ゲンドゥン・ギャンツォの仏教的葬儀を不可能にしたことは非道であり、非常に悲しいことである」「ネパールは今でも、世界に対し、人権と宗教の自由を尊重し、道徳的規範を維持しているということを示すチャンスは残されている。ネパール政府は中国にへつらうことを止めるべきである」とSFTのテンジン・ジクデルは述べた。
ネパール当局から公式な発表は出されていないが、RFAは9月2日に僧カルマがカトマンドゥのパシュパティナートの火葬場で秘密裏に火葬されたと報告している。
参照:24日付けphayul
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)