チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2012年4月23日
黒板に中学生が「ダライ・ラマ法王に長寿を!」と書き… /携帯にダライ・ラマ法王の写真を入れて…
最近のチベットの状況を、亡命政府や法王も「まるで嘗ての文革時代のようだ」と形容する。
今日のニュースは:「中学校の黒板に生徒が『ダライ・ラマ法王に長寿を!』と書いたが故に、地区の学校すべてに『愛国再教育班』が送り込まれた」と「携帯電話の中にダライ・ラマ法王の写真や法王を讃える歌が入っていたとして10人以上が拘束された」というものだ。
中学生を脅したり、携帯の中身まで統制しようとする、大中国。脅しで人の心を変えることができると思う中国。「人はやりたくない事を強要される時に、もっとも傷つき、苦しみを味わう」と渡辺一枝さんがあるイベントで中国のやり方についてコメントされていたが、中国は今も、この文革的虐待方法をを使い中学生までも苦しめる。
22日付けRFA英語版より。http://www.rfa.org/english/news/tibet/campaign-04222012195529.html
黒板
現地よりRFAに入った報告によれば、先週、チベット自治区チャムド地区マルカム(芒康)県のある中学校の黒板に女子生徒が「ダライ・ラマ法王に長寿を!」と書いた。これを契機に県内のすべての学校に大勢の「再教育隊」が乗り込まれ、キャンペーンを始めたという。
地区の共産党書記Bao Luoに率いられたキャンペーン隊は各学校を巡り、生徒と職員を集め「分裂工作を行い、宗教の名の下にチベット仏教を欺いているダライと亡命政府を非難する演説を行っている」と住民は言う。
さらに「ダライ一味の行動がチベットの不安定の主要因であり、反動的キャンペーンをおこなうことで中国の安全を脅かし、混乱を作り出している」と非難し、「我々は生徒や職員からダライ一味の悪しき影響を洗い出し、生徒が中国共産党の指導に従う健康的で安定した環境の下で育つことを目的としている」と話したそうだ。
(女子生徒がどうなったかは報告されていない。)
携帯電話
RFAが入手した4月6日付けのラサ公安局資料によれば、3月中にラサで11人のチベット人が携帯電話の中にダライ・ラマの写真やダライ・ラマを讃える歌を入れていたとして拘束されたという。
ミンギュル・ケルサン(44)はダライ・ラマ法王を讃える歌ビデオを入れていたことで拘束され、アロ(28)はダライ・ラマとカルマパの写真及びチベットの地図を入れていたとして拘束された。
ラクパという女性は3月9日、携帯の中にダライ・ラマを讃える歌が入っていたとして拘束された。彼女は2009年に携帯を買ったとき、その曲は最初から入っていたのだと説明したという。
資料の中にはその他ティーンエージャーや20代の若者8人の名前が上げられ、すべて携帯の中にダライ・ラマの写真や彼を讃える歌が入っていたことで拘束されたと書かれていた。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)