チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年10月24日
焼身供養に対する中国当局のコメント「僧侶たちは若く思想観念が成熟しておらず是非判別能力も弱い」
以下18日付けRFA中国語版http://p.tl/9jmWより。
@tibetweeterTYOさんが翻訳して下さった。
四川の僧侶連続焼身自殺についてンガバ州官吏は「焼身自殺した僧侶たちは若く思想観念が成熟しておらず是非判別能力も弱い」と発言。
先のRFAチベット語版にて報道の通り、(10月17日月曜日に)20歳の尼僧テンジン・ワンモが焼身自殺したが、今週火曜(18日)に中国当局メディアはコメントを発表した。
ンガバ県宗教局の青泉は、焼身自殺した僧侶たちは、若く、思想観念が成熟しておらず、是非判断能力が弱く、「殆ど全員がキルティ僧院で教育を受けた者である」などいくつかの共通的特徴があると述べた。
ンガバ県宗教局のソンドンダル(注・音訳)局長は、キルティ・リンポチェが’59年の亡命と相前後してダライ・ラマの個人秘書を務めており、チベット亡命政府の仏教学・哲学院の責任者である点を指摘。近年中国国外のキルティ僧院勢力が設立した「緊急状況協調チーム」について、「ダライ集団の『緊急状況協調チーム』の一元的な指揮の下、『亡命政府安全部』や『チベット青年会議』、ダライ・ラマ個人秘書事務所と連絡を取り指導を受けており、主要な職責はンガバ地区にコネクションを作り情報を集め、騒動の指揮を画策することである」とした。
ンガバ宗教局のハジュンツェ(注:音訳)副局長は、キルティ僧院の僧侶の組織「狂人の群」のメンバー4名は、今年3月2日に前もって「3.16」焼身自殺の写真を撮る、油を購入するなど工作を分業していたとして批難。外国メディアからは、事件発生後僅か2時間でニュースが流れている。
キルティ・リンポチェが法要を行ったことに対しソンドンダル局長は、自殺者を「民族的英雄」「自由闘士」と吹聴するためであるとし、「仏門の弟子に自殺を唆すような行いは人類の良知に背き、当地僧俗は十分な反感を覚える」と宣言した。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)