チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年9月30日
中国はチベットで「第3回闘争キャンペーン」を開始
9月30日付けTCHRD(チベット人権民主センター)リリースhttp://p.tl/igEs
10月1日、中国人民共和国は63度目の建国記念日を祝う。チベットではこの種の記念日の前に必ず締め付けがあり、規制が厳しくなる。今回も例外ではない。www.chinatibetnews.comによれば、9月27日の午後、チベット自治区党委員会と自治区政府は10月1日に行われる建国記念日の準備会議をラサで行った。
会議では「今年の安定維持を勝ち取るため」に「第3回闘争キャンペーン」が発令されることが決定された。自治区党書記陈全国は会議の席上以下の4項目を強調した。
第1:政治的ケースが発生しないことを確かにする。「チベットの社会的安定を効果的に維持し、長期的安定を確かなものとするために分裂主義との闘いを徹底すること」。
第2:問題は小さい内に根底から取り除くこと。
第3:愛国再教育を強化し、全ての僧院を徹底的に監視すること。宗教活動と宗教業務は法律に従って行われること。
第4:党と政府の役人が社会安定に対する主な責任を負うべきこと。
自治区政府議長のペマ・ティンレーは会議を称賛し、社会安定のために役人は必ずこの「第3回闘争キャンペーン」に勝利することを決心するようにと語った。会議には電話とビデオを使い全ての県と市の首長も参加した。
チベットの全ての地区を対象にした弾圧を目的とした「社会安定」会議はこれが今年2度目となる。新しく自治区党書記となった陈全国が主催する初めての会議である。この「第3回闘争キャンペーン」はチベット人の平和的抗議者と、中国共産党の政策に従わないチベット人を弾圧することを目的としている。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)