チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年8月28日
ジェクンド(玉樹)でチベット人たちの畑が漢人たちに横取りされつつある
8月25日付けTibet Netチベット語版http://p.tl/9Uv8(写真も)より。
今月25日に現地から寄せられた報告によれば:
ジェクンド(ユシュ、ケグド、玉樹)は2010年4月14日、大地震に襲われ多くの死傷者が出ただけではなく、家屋が破壊され、生活の糧であった商店や耕作地も長らく使用できない状態となった。中国当局は外部に対し非常に見てくれのよい被災地復興計画を発表し、宣伝している。
しかし、現地のチベット人たちはその復興計画が自分たちにとって少しも利にならないものであるとして、今年4月1日、街の中心に大勢のチベット人が集まり、「自分たちの土地を自分たちが自由にする権利を要求する」等と書かれた横断幕を掲げ、当局に抗議する集会を行った。彼らは4月1日から3日までその場に寝泊まりし、抗議を続けた。
(参考:過去ブログhttp://p.tl/1ixV)
このような抗議に至った、主な原因は、2010年4月14日の大地震の後、中国当局が発表した復興計画を実行するにあたり、以前チベット人が所有していた建物や土地の所有権が政府の所有とされることに対する強い不満であった。
最近、ジェクンドには大勢の外地からやって来た中国人たちが移住し、(当局と結託し)代々チベット人の耕作地であった畑を横取りし、そこで野菜を栽培し始めているという。その上、彼らはさらに外地から移住して来た中国人たちをその耕作地の農民として雇い入れ始めた。
こうして、以前それらの土地を耕作することで生活の糧を得ていたチベット人たちは完全に生活の手段を閉ざされることとなったという。
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写真提供@yuntaitaiさん。現在も多くの人々がテント生活を強いられている。自宅が被害を受けなかったのに、「再開発」を理由に追い出され、テントで暮らす被災者もいるという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)