チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年8月20日
同郷の1人が語る焼身自殺した僧ツェワン・ノルブの人柄
昨日のVOAチベット語放送討論会http://p.tl/PkKIの中で15日に焼身自殺した僧ツェワン・ノルブを個人的に知る在ダラムサラ、タウ出身のロブサン・ジンバが彼の人となり等を語っていた。ロブサン・ジンバ自身も2008年に抗議デモを行い2年近く投獄されている。
そのいくつかを紹介する。
彼はどのような人だったか?と訊かれロブサン・ジンバは「僧ツェワン・ノルブは普段、控え目で、勉強に励み、立派な僧侶であったと思う。なぜかと言えば、彼は他の人々の幸せを願い、他の人々の苦しみを晴らすために、自ら苦しみを引き受けたのだから、これはすごい事だと思う。慈悲と菩提心を持っていたことは確かだ。…炎に包まれながらも『チベットに自由を、人権を!ダライ・ラマ法王の帰還を!』と叫び続けたのだ」と答える。
家族は父母と姉と妹。16歳の時、僧侶となり29歳で亡くなるまで13年間僧院で勉強し、ウマ(中観学)まで進んでいた。
ロブサン・ジンバは2010年にタウで僧ツェワン・ノルブと3日間一緒に過ごし、一緒に食事をしたという。そのときデモの話等も出たが、彼が焼身自殺をする気配はなかったという。
幼少より目に傷害があり、一人息子であるのでインドにも行かず、父母の面倒を見ていたと。
彼によれは今のところ当局は家族には特に危害を及ばしてはいない。今は僧院へ水は送られているという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)