チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年8月19日
ンガバ、キルティ僧院に対する弾圧は続く
8月19日付けTibet Netチベット語版http://p.tl/dUlS
及び、同日付けTibet Post 英語版http://p.tl/hKVh
より。
ダラムサラ、キルティ僧院の僧ロブサン・イシェと僧カニャック・ツェリンが18日、現地からの報告を伝えたところによれば、僧院の内外には今も大勢の警官隊と軍隊が駐留し、グループごとに分けられた僧侶たちへの愛国再教育が続けられている。「チベット解放60周年記念日」には僧侶たちはこれに関連した官製映画を見せられ、これを称賛する事を強要された。
されに、数日前には僧侶たちに書き付けが手渡されたが、その中には、「以前にインドへ行ったことがある者、政治的活動をしたことがある者、今年の愛国再教育に参加しなかった者、今年当局により僧院から追い出された者は今後一切僧院に在籍してはならない」と書かれていた。また、許可された僧侶には「身分証」を発行するとも書かれていた。
これに対し僧侶たちは「全ての僧侶の在籍が許されない限り、そのような『身分証』を受け取ることはできない」というチラシを僧院の外に張り出し、反対を表明したという。
また、タウで僧ツェワン・ノルブが中国政府に対する抗議の焼身自殺を行った15日には、ンガバ全域で電話とインターネットが不通になったという。15日以降、ンガバには軍隊がさらに増強され、監視が強化されている。3月16日に僧プンツォが焼身自殺した後、ンガバの全てのインターネット屋は閉鎖されたままであり、携帯からのテキストメッセージも送れない状態が続いているという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)