チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年8月12日
1人のチベット人が拘留中に激しい拷問を受け、解放後死亡
12日付けTCHRD(チベット民主人権センター)プレスリリースhttp://p.tl/OYxFによれば、8月10日、拘留中に激しい肉体的・精神的拷問を受けたティンレー氏が死亡した。
ティンレー氏は2009年4月、カンゼで数人の友人と共に「チベットの自由」を求めるパンフレットを配りながら、中国政府に対する平和的抗議行進を行った。彼はその後7ヶ月間カンゼ拘置所に収監されていた。
拘留中の拷問により頭に重傷を負っただけでなく精神的にも異常をきたしていた。7ヶ月後に解放された後も彼は死ぬまで頭部の損傷と精神異常に苦しみつづけた。家族は多くの病院を巡りどうにか彼を救おうと努力したが、結局報われる事はなかった。医者は「頭部の損傷は重く、治療は不可能だ」と家族に告げた。仕方なく家族は彼を家に連れ帰りできるだけのことをした。彼は今月10日、家族が見守る中、息を引き取った。
ティンレー氏はカンゼ県ビリ・シェカル村出身、25歳位で母リンチェン・ドルマ、父ロブン(故人)の息子。
TCHRDは報告の最後に「チベット人同胞の不幸な運命を悲しむと共に、中国当局に捉えられている、他の全てのチベット人政治犯の安否を非常に憂慮している」という。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)