チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年7月26日
廃人と化し、刑期終了前に解放
チベットでは2008年蜂起により逮捕され刑期を受けた人たちが最近序々に解放されている。しかし、その人たちの中には監獄での拷問により身体障害者と成り果てて出てくる人も多い。
そのような人の話がまた一つ昨日のVOT放送で伝えられ、今日付けのTibet Times チベット語版に記事となって載っていた。http://p.tl/m6po
—————————————————————————–
2008年、チベット全土で中国政府に対する平和的抗議活動が行われた。
青海湖の北、海北チベット族自治州ダシ郷出身のワンチュック(30)とティカ郷出身のウーセルを始め9人のチベット人は、デモを行おうとチベットの国旗や様々な政治的スローガンを書いた横断幕を準備していた。
しかし、この計画が当局に知れ、2008年8月2日彼らはクンブンで逮捕され、証拠となるチベット国旗等も押収された。9人は尋問中、同様に拷問を受けた。上記の2人は他の仲間を助ける積もりで自分たちが首謀者であると主張した。
その結果2人にはそれぞれ3年の刑が言い渡され、他の7人は解放された。
先月8日、刑期終了を前にワンチュックは解放された。しかし、彼は脳に傷害を負い廃人と化していたという。
一方、彼と一緒に逮捕され刑期を受けたウーセルは今もどこの監獄に収監されているのかも分らない。
ワンチュックは元僧侶で1997年にインドに亡命し南インドのデブン僧院 に学び、2001年にチベットに帰っていた。ウーセルもかつてインドに亡命したことがある。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)