チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年5月2日
カム、ジョムダ(江達)ジョプ僧院の僧侶2人に懲役刑/当局、年末にンガバ・キルティ僧院接収か?
5月2日付けTCHRD(チベット人権民主センター)リリース。http://p.tl/hJsJ
チベット自治区チャムド県ジョムダにあるジョプ僧院の僧侶トゥルク(転生僧)・ジャンジュプとペサンに今年3月、それぞれ3年と2年半の刑期が言い渡された。
2009年末、地方当局は開発を理由に当僧院の敷地を取り上げようとした。僧侶や住民は、敷地は僧院に所属するし、これからもそうあり続けると主張し抗議デモを行った。このデモを先導したとして2009年12月、トゥルク・ジャンジュプ(25)が逮捕され、2011年1月にペサンが逮捕された。2人はジョムダの拘置所に拘留されていた。
3月、地方裁判所によりトゥルク・ジャンジュプに3年、ペサンに2年半の刑期が言い渡された。情報によれば、ペサンは最初チャムドの刑務所に収監されていたが、後ポオ・タモの刑務所に移された。トゥルク・ジャンジュプは逮捕後、拷問を受け、そのせいで現在病院に入院しているという。
亡命政府DIIR(情報国際関係省)中国デスクによれば:http://p.tl/BM8I
中国当局は年末にンガバ・キルティ僧院を接収管理する準備をしているという。地元の僧侶のみ残し、現在2500人いる僧侶を4~500人に減らすつもりらしい。
同じようなことは嘗て2008年に、ラサ近郊にあるゲルク派の3大僧院(デブン、ガンデン、セラ)に対して行われた。この後、これら僧院の僧侶の数は激減した。
VOTによれば、今日、デリーではダラムサラから到着した100人のキルティ僧侶を含め約500人が、ンガバ・キルティ僧院の窮状を訴えるためラージガート(ガンジーの墓)からジャンタールマンタールまで約5キロを行進。そこで「死のハンスト」に入り8日目になるTYC執行部の3人に会う。3人の体重はすでに5~6キロ減少したという。デリーはこのところ連日40度を越える猛暑が続いている。
南インドでも今日、キルティ僧院のために数千人が参加する集会が開かれ、ハンストも行われている。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)