チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年3月29日
僧侶の焼身自殺を受けバルカムの学生がハンガースト/自殺した僧プンツォの兄弟・親戚が逮捕
ンガバ(རྔ་པ་)のキルティ僧院の僧プンツォが16日焼身自殺したことを知り、少し離れたバルカム(འབར་ཁམས་馬爾康)にある民族師範学校(མི་རིགས་མཐོ་འབྲིང་སློབ་གྲྭ生徒約千人)の生徒たちが僧プンツォへの哀悼と連帯を示すために17日よりハンガーストライキに入ったという。
この情報は現地からの連絡を受け亡命側の数名が伝えたもの。彼らによれば、ストに入ったことを知った当局は軍を出動させ学校を閉鎖。外部との連絡を絶つために、生徒や先生の携帯電話を取り上げたという。故に状況ははっきりつかめていない。ある情報によれば23日にはまだハンストは続けられていたという。逮捕者がいるかどうかは不明。
ンガバでは22日、焼身自殺した僧プンツォの弟である同じ僧院の僧ロプサン・ケルサン(བློ་བཟང་སྐལ་བཟང་19)と母方の叔父ロプサン・ツォンドゥ(བློ་བཟང་བརྩོན་འགྲུས་19)及び同じくキルティ僧院の僧サムドゥップ(བསམ་འགྲུབ་)が逮捕された。3人は焼身自殺後に行われた抗議デモに参加したとされる。僧サムドゥップは2008年のデモにも参加し7ヶ月間拘束されたことがある。
キルティ僧院の回りには大勢の武装警官隊が配備され、僧侶を見つけると小突き、いじめを行っているという。
その他、当局は24日ンガバ地区のタワ・ゴンマ(མཐའ་བ་གོང་མ་)村とギャプマ(འགབ་མ་)村で集会を開き、村人にキルティ僧院を監視するために出向く事を強要した。これに従わない者は一日につき30元の罰金が課されるという。
参照:The Tibet Post http://p.tl/9ryf
Phayul.com http://p.tl/fVIE
RFAチベット語版 http://p.tl/GqtK
及び、RFAとダラムサラ・キルティ僧院への電話確認。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)