チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年3月25日
ンガバで3人の若者その他数人逮捕、亡命側選挙の日を祝ってはならないと通達
3月24日付けPhayulより
http://p.tl/-9fG
僧プンツォが焼身自殺したンガバでは当局によるチベット人の逮捕が続いている。火曜日と水曜日には3人の若者と他数人が逮捕されたと言う情報が現地から入っている。
火曜日の夜遅くロプサンの家にいたロプサン・ジャミヤン、ワンチョックおよびソナムの3人が逮捕された。「中国の警官は、この地方での逮捕ではよくある事だが、真夜中の12時頃突然家に押し入り、何の説明もなく、逮捕状も示される事も無く彼らを引き立てて行った。ロプサンは16歳でンガバのタワ・ゴンマ村の住民だ」と現地からの情報は伝える。
ンガバ当局は亡命チベット社会で首相と議員の選挙が行われた先の日曜日の一日前に、全ての僧院とチベット人のリーダーたちに命令書を送った。その中には亡命側で選挙が行われる日に、これを祝い、喜ぶ印に爆竹をならしたり、焼香を行ったり、タルチョをかけたり、ルンタを空に投げ上げてはならないと書かれていたという。「異常に厳しい制約が課された。思うに3月20日に亡命チベット人たちが選挙を行ったことに対し我々がこれを喜び、支持を示すことを懸念したからであろう」とンガバの住民が水曜日に伝えて来た。
「ンガバのチベット人たちは選挙の日、警戒が厳しくほとんど外に出る事ができなかった。しかし、みんな家の中で選挙がうまく行くことと、チベットの仏教を守り、チベット問題を解決することが本当にできる人が当選してくれることを祈った」と現地と連絡を取った亡命チベット人は話す。
ンガバのキルティ僧院では月曜日から「愛国再教育キャンペーン」が始まり、そこでは僧侶たちに中国憲法と中国国旗の説明が書かれたコピーが勉強のために配られたという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)