チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年3月8日
ダライ・ラマに次のダライ・ラマを選ぶ権利はない/自治区3月閉鎖/チベット新年に大規模な追悼法会 警察が厳重警備=青海省・玉樹被災地
「ダライ・ラマに次のダライ・ラマを選ぶ権利はない。ダライ・ラマはチベットの伝統に従い転生してもらわないといけない」と、おっしゃったのはチベット自治区書記のペマ・チュリン。今北京で開かれている全人代の傍ら、昨日ロイター等の記者に話たそうだ。http://p.tl/oRmb
これは、法王が「もしも人々が望むならダライ・ラマ制度そのものを廃止してもいい。或は次期ダライ・ラマを選挙で選んでもよい。生前に選ぶという手もある。何れにせよ、チベット内地には生まれ変わらないがな、ハハハ」とおっしゃっているのに対し、反応したものであろうが、笑わせてくれる。ダライ・ラマの転生をどうするかは、まずはダライ・ラマ法王、次にチベット人が決める事であり、宗教否定、伝統破壊者の共産党さんが口を出すとは自己矛盾も甚だしい。共産党がダライ・ラマの転生制度を保証してくれるという、まことに有り難い話ではある。
そのくせ、同じ日に書記長の張慶黎は「ダライ・ラマは僧衣を着た狼だ」「二枚舌の分裂主義者の親玉だ」と言ってる。http://p.tl/HGsx
普通だったらそんな悪魔のような人物の意思を継いだ生まれ変わりなど「二度と現れるな」と思うのが当たり前だが、何を企んでいるのか、これも共産党に置いては矛盾しないというのだ。
中国当局、笑わせてくれる話には事欠かない。例えば「ジャスミン」騒ぎについては沢山ある、、、がこれは今置いといて、、、この3月中チベット自治区への観光客の入域を全面的に禁止にした理由が笑える。「チベットはこの時期寒過ぎて、宿泊キャパにも問題がある。安全も保証できない」ときたもんだ。http://p.tl/pW5t
北半球はどこだって1月、2月が一番寒いに決まってる。3月はもう春だ。ラサなど毎日天気よくて北京より余程暖かい。ウーセルさんもおっしゃっているが、この時期ホテルはどこも暇してる。唯一、最後の「安全に問題が」という点は正直か?この時期町の至る所に武警が立っていて、間違ってちょっとでもカメラがその方向を向くと何をされるかわからない。
誰だって本当の意味は解ってる。何か起こったときにその目撃者を限りなくゼロにしたいというだけだ。解りきったことに対しても、何か嘘の口実を言わないと気が済まないのだ中国共産党。
記事を一つ貼ろうと思いつつ、余談が長くなった。
昨年大地震により全滅したジェクンド(ケグド、ユシュ、玉樹)のロサに関する日本語になったエントリーがあったので以下紹介。
元記事はRFA、翻訳編集掲載は大紀元。文中チベット人の名前が中国語表記となっているが、元が今分らないのでそのままにする。
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<チベット新年に大規模な追悼法会 警察が厳重警備=青海省・玉樹被災地>
http://p.tl/Y3KU
【大紀元日本3月8日】3月5日は、チベット暦の新年。だが、青海省玉樹県では昨年4月に発生した大地震による死者を追悼し、多くの人が新年の祝いを取りやめ、多くの寺院でも大規模な追悼法会がとり行われた。ラジオ自由アジア(RFA)が報じた。
大地震後はじめての新年を迎えた玉樹県では、寺院で済度法会が行われ死者を追悼していると現地チベット人の普錯さんが語っている。2、3日前から同県各地の寺院ではすでに法会が行われており、多くの僧侶や生き仏たちが玉樹県に集まって来ている。法会期間はおよそ7日から10日で、数千人のチベット人が被災区から参加しているという。
チベット暦の新年では通常、多くの食べ物と新しい衣服を必要とするが、今年は年越しの準備はせず10日以上前から肉を絶ち、哀悼の意を表している、と結古鎮のチベット人・貢波索南さんは話している。除夜と新年当日、現地チベット人はみな食を絶つという。
玉樹県以外の青海省に住む一部チベット人も新年を祝わなかった。西寧市の卓瑪さんによると、同市に住む一部のチベット人は親戚が玉樹地震で亡くなったので新年を祝わず、またラマダン月にも何日も肉を絶ち、悲しみを表したという。
一方、チベット自治区のラサではチベット暦新年の前後に多くの武装警察が市内を中心に巡回していた。
ラサ市民によるとこの2、3日、市内では銃を携帯した多くの武装警官が警備にあたり、繁華街でチベット人を検査している。新年当日、チベット寺院では多くのチベット人が参拝に訪れたため、寺院の外には多くの警察が配備されたという。
また、インドに住むチベット人・益西卓桑さんによると、1月中旬からラサの街頭では多くの武装警察が巡回し、建物の屋上からも監視されているため非常に緊張した状況だという。
インドに本部を置く「チベット人権民主センター」のスポークスマン江白木浪氏は、ラサ地区で厳しい措置が敷かれていることをRFAに伝えている。毎年3月、チベット暦新年に加え、3月10日のチベット民族蜂起記念日および「両会」の時期が重なるため、チベットは厳重な警戒が敷かれ、警察や治安人員が巡回を強化する。6日の日曜日、チベットでは多くの部門が「両会」期間およびチベット暦新年の治安問題についての会議を招集している。チベット人居住区や、デプン寺のようにチベット人が多く出入りをする場所は巡回が強化され、さらにチベット僧は、この期間中に市部に入ることが禁じられている。
(翻訳編集・坂本)
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)