チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年12月27日
獄中死回避のためか?衰弱しきった僧侶4人、刑期終了前に釈放
写真左より:ルントック・ギャツォ、スパ・ギャツォ(26)、ケルサン・ギャツォ、スパ・ギャツォ(21)(phayulより)
12月27日付けphayul.comより。
http://www.phayul.com/news/article.aspx?id=28828&article=China+frees+4+Mangra+monks+ahead+of+jail+term+in+%22poor%22+health
The Voice of Tibetラジオhttp://www.vot.org/#によれば、
青海省海南チベット族自治州マンラ(མང་ར་、貴南)県にあるルツァン僧院་ཀླུ་ཚང་དགོན་པ་の僧侶4人:ケルサン・ギャツォ(སྐལ་བཟང་རྒྱ་མཚོ་23)、スパ・ギャツォ(བཟོད་པ་རྒྱ་མཚོ་26)、ルントック・ギャツォ(ལུང་རྟོགས་རྒྱ་མཚོ་24)、スパ・ギャツォ(བཟོད་པ་རྒྱ་མཚོ་21)は最近、刑期終了を待たず、釈放された。
彼らは、2009年2月25日、チベットの正月(ロサ)一日の夜、同じ僧院の僧109人と共にマンラの県庁舎前まで抗議のキャンドル行進を行った。
この早期の釈放は、彼らが獄中で受けた拷問により死に瀕したが故ではないかと思われている。
「情報によれば、彼らは今家族の下に帰されたが、4人とも非常に衰弱している」と現地と連絡を取った亡命中のロプサンはVOTに語った。
109人の僧侶たちは、その夜ラモ・ヤンジン・ポダンからマンラ県庁舎までキャンドルを掲げ無言の抗議行進を行った。
その後109人の僧侶たちは全員近くの学校に連行され、そこで厳しい再教育セッションを受けさせられたという。
その後この4人を除く残りの105人は解放された。
4人は後にマンラ中級人民法院により、この抗議デモを先導したとして、それぞれ2年の刑を言い渡された。
この時の彼らのデモは、内外のチベット人たちが、2008年の一斉蜂起により殺された人々と、獄中にいる良心の囚人たちへ敬意を示すために、ロサを祝うことをボイコットするという抗議活動の一環であった。
—————————————————————
拷問により死にそうになった政治犯を外に出すという事はチベットの監獄では常に行われている。
家族の下に返された後、しばらくして死亡したというケースは、これまでにも沢山報告されている。
今年も内地のチベット人たちはロサを祝わないという人が多いらしい。
これを阻止するために、当局はロサを祝う人に報奨金を与えるとまで言っている。
派手に楽しげなロサを演出し、チベット人は何の問題も無く、こんなに楽しくやっていると国内外に宣伝するためにだ。
RFA:http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/china-releases-4-lutsang-monks-in-qinghai-12282010202320.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)