チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年7月28日
子供の絵/Old woman of lhasa /ヌブラの法王
映像系を三つ紹介する。
まず、私が2008年春に集めた、ヒマラヤを越えダラムサラにたどり着いた子供たちが描いた絵を基に、YASOUMAN氏が制作して下さった絵本の改訂版。
「日本語、英語、音声入り」
http://web.me.com/kuuku/a6book/japanese_%28revision%29.html
この英語版100冊ほどをルンタ・レストランに置いていたが、瞬く間にはけた。
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次はyoutube,「Old woman of lhasa 」
これを見ていて、私は自分が86年にラサに行った時のことを思い出した。
パルコルの途中で老婆に呼び止められ、自分の部屋にお茶を飲みに来なさい、と誘われた。
狭い部屋に入り、自分はダラムサラから来たと伝えると、突然涙をポロポロと流し始めた。
老婆の涙は止まることなく、自分の手を取り、チベットの状況を話し始めた。
最後に「自分はいつか再び法王にお会いできると信じることだけで生きている」と言った。
ツクラカン(ジョカン)では僧侶にお茶を誘われ、部屋で手紙を渡された。
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最後は今回の法王ヌブラ訪問の映像。
地の果てに「愛」を象徴する高さ30mの「弥勒菩薩像」が建立された。
http://www.tibetonline.tv/videos/187/a-blessing-from-hh-the-dalai-lama:-nubra,-ladhak
この映像中、法王のおそばに控えておられる老僧は102代、現ガンデン・ティパ(ゲルク派の最高位の高僧)。
師はこのヌブラ出身だ。
ところで、この現ガンデン・ティパについては最近日本で善からぬことで話題になった。
先の参議院選挙にも立候補し、黄色いゲルク派の帽子をかぶって街頭演説し、もちろん落選したというドクター中松にチベット最高位の称号を与えたと噂された人物だ。
金で称号を与えたのではないかと噂され、チベット仏教の名を貶めたと見なされたりもしている。
で、真相はどうなのか?
情報源はまだ明かすことができないが、これに関し、ガンデン・ティパ本人が弁明したという情報が入っている。
それによると、ある人物を介し、確かにデリーで師はドクター中松に会っているが、
「帽子を与えたこともないし、金も受け取っていない」
ただ、「内容は日本語で自分が読めない書面にサインした」とのこと。
この書面が所謂、ガンデン・ティパから与えられたとする「称号の証明書」だったらしい。
もちろん、自分が読めない書面にサインしたことは師の落ち度と言えるかもしれないが、師の弁明を聞く限り、ドクター側がサギ行為を行ったとしか言いようがない。
何れ、この件に関しては、詳しい報告が近々公にされると思う。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)