チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年12月14日
ラサ近郊の尼僧院が当局により破壊され 100人以上の尼僧が追放
12月10日付けRFAチベット語版によれば、ラサ北方ペンボ・フンドゥップ県にあるシャル・ブンパ尼僧院ཤར་བུམ་པ་བཙུན་མ་དགོན་པ།)の尼僧107人が突然追放され、宿舎がブルドーザーにより破壊された。
事件は今年8月3日に起こっていたが、尼僧たちが窮状を訴える手紙が外部に伝わったことによりようやく判明した。この尼僧院には118人の尼僧が所属していたが、その内、病人と高齢者11人をのぞく107人が追放されたという。
8月12日付けのその手紙には、「私たちが自分たちで建てた宿坊に暮らしていた時、突然チャンカ郷の役人が来て、即刻尼僧院を出ろと命令されました。私たちは地に頭を付け『どうか、そのようなことはしないで下さい』と何度も懇願しました。しかし、役人は『上の命令だ』といい、全く取り合ってくれませんでした。8月3日、ブルドーザーがやって来て、宿坊がすべて壊されたのです」と書かれている。
されに、手紙には「その際、数人の尼僧があまりのことに卒倒し、数人の尼僧がその後行方不明となっています。私たちにはもう帰る場所がなくなりました。国際人権団体の人たちにお願いします、どうかこの事件を調査し、私たちを守って下さることを」と切実な訴えが記されている。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)