チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年7月2日
デチェンで鉱山開発に抗議、負傷者、拘束者も
雲南省のチベット人居住地区で、聖山を破壊する鉱山開発に抗議したチベット人たちが部隊に暴力を受け、拘束される。
7月1日(*1)、雲南省デチェンチベット族自治州デチェン県ヤマ郷マルタク村(ཡུན་ནན་འཇུས་བདེ་ཆེན་རྫོང་ཁོངས་ཡ་མ་ཡུལ་ཚོ་མར་རྟག་གྲོང་།)にある銅鉱山の拡張工事が始まるのを察知した地元のチベット人たちは、現場に座り込み、これを阻止しようとした。
数年前から始まったいたこの鉱山は地元のチベット人たちが聖山と崇める山の麓にあり、また聖湖の近くであった。水源地帯でもあり、村人たちは水が汚染され、土石流の危険が増しているという。地元の人々は当局に対しこの鉱山開発の中止を何度も訴えたが、まったく無視し続けられていた。
この日、住民たちが大勢座り込みを始め、現場の職員と言い争いが始まった。現場からの連絡を受けた当局は直ちに100人ほどの警官と武装警官を送った。
部隊は目の前で土下座して懇願する地元チベット人を蹴散らし、暴力的に村人を追い払った。その際、何人ものチベット人が負傷し、その内の1人は病院に運び込まれた。また、9人(*2)が連行されたという。
部隊は抗議者たちに向かって「このようなことを続ければ村人全員を逮捕するぞ」とか「お前らを殺していいという許可もでているんだぞ」と脅していたそうだ。これに対し、地元のチベット人たちは「拘束者の全員即時解放と鉱山開発の中止を求め続ける」という。
*1:RFA中国語版では事件発生日を6月30日と伝える。
*2:同じく中国語版では拘束者の数を3人と伝える。
参照:7月1日付けRFAチベット語版
同中国語版
7月2日付けTibet Timesチベット語版
その他、チベットの鉱山開発全般については例えば過去ブログ「チベットは一級の戦利品」へ。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)