チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年5月26日
失踪中の歌手ギェペ、音楽祭の会場で逮捕
来たらん (ヨンギ・ユ ཡོང་གི་ཡོད། I am coming )
歌詞の日本語訳はここ。
2年近く失踪とされていたンガバの人気歌手ギェペの元気そうな写真が先の5月24日、フェースブック上に流れた。これを見た関心ある人たちは彼の消息が知れ、元気そうな姿を見て喜んだ。
コメントの中には撮影された場所の名前も明記されていた。その夜、ンガバ州のキュンチュ県では有名どころの男女歌手を集めた歌謡ショーが開かれることになっていた。ギェペはその中でもメインだった。
しかし、午後9時頃、ショーが始まると同時に、ンガバ州の州都であるバルカムから来た大勢の警官が会場に押し入り、ギェペを連行していった。
彼が連行された理由は明らかにされていないが、この情報を伝えた現地のチベット人は「ギェペは何も罪を犯していない。ただ、チベット人の苦楽と母語保護を訴える歌をいくつか歌っただけだ。中国当局は勝手にこれを政治的犯罪と見なすのだ」という。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)