チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年4月27日
ンガバで僧侶一人抗議デモ 鉢巻きにチベット国旗・頭上にダライ・ラマ法王
昨日4月26日、現地時間午後2時半頃、アムド・ンガバ(四川省アバ・チャン自治州ンガバ県ンガバ)の中心街でンガバ・キルティ僧院僧侶ロプサン・テンパ(བློ་བཟང་བསྟན་པ།)、19歳が額に雪山獅子旗(チベット国旗)を描いた布を巻き、頭上にダライ・ラマ法王の写真を掲げ、中国政府のチベット弾圧に抗議するデモを行った。
数分後には、普段より厳しい警戒を行っている部隊が彼を取り押さえ、連行したという。その後、彼がどうなったか、デモの最中彼が何を叫んだかについては未だ伝わっていない。
頭上に法王の写真を掲げンガバの路上を進む僧ロプサン・テンパ。
僧ロプサン・テンパはンガバ県メウルマ郷第二村の出身。父の名はダクチュン、母の名はドルマ・チュコ。兄が二人いて、何れも僧侶。上の兄は南インドのデブン僧院で勉学中、もう1人の兄はンガバ・キルティ僧院僧侶。彼は幼少時にンガバ・キルティ僧院の僧侶となり、現在第9学年という。
もっとも頻繁に焼身抗議が発生するンガバでは、今も街中に武装警官隊、特殊警察隊、軍隊が大勢配備され、様々な武器を見せびらかしながらチベット人たちを常時威嚇し続けているという。
今年に入ってもンガバではすでに2人が焼身している。2月13日には元ンガバ・キルティ僧院僧侶のロプサン・ドルジェ、25歳が、3月16日にはンガバ・キルティ僧院僧侶ロプサン・パルデン、20歳が、何れもキルティ僧院近くの「勇者の道」の上で焼身、死亡している。
参照:ダラムサラ・キルティ僧院リリース
4月26日付けTibet Timesチベット語版
4月26日付けphayul
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)