チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年4月26日
ペユル:鉱山開発に抗議した4人拘束 山に逃亡多数
四川省カンゼ州ペユル県では2007年より主に金を採掘する鉱山開発が始まった。このために地元のチベット人は強制的或はわずかな補償金で移住を強要されたり、その上環境悪化による被害を受け続けている。
2010年8月には鉱山開発の中止を求め政府庁舎の前で座り込みをしていたチベット人約100人を当局が強制排除しようとした。この時治安部隊はチベット人に向かって無差別発砲を行い、3人或は4人が被弾死亡し約30人が負傷するという事件があった。
今年に入り、再び政府と結託した鉱山会社が鉱山を拡張するためにチベット人の土地を強引に買収しようとした。これに反発したチベット人は2月終わりにトムタル鉱山で抗議デモを行った。この時、役人が来て「デモに参加したものは厳しい結果を味わうだろう」と脅したという。これを聞き、多くのデモ参加者が山に逃げたという。
彼らは1ヶ月ほど山に籠ったのち、ほとぼりが冷めた頃合いを見計らいそれぞれ家に帰った。そして、今月21日、このデモの首謀者と見なされたジャミヤン、トゥプガ、キャモ、ガデの4人が拘束された。トゥプガとキャモはドコと呼ばれる場所で拘束され、ガデは自宅で、ジャミヤンはガルツァンと呼ばれる鉱山で拘束されたという。
現地からの報告によれば、その後、地区への警戒が厳しくなり、チベット人をむやみやたらと尋問したり、拘束しようとしているという。4月23日にはグロと呼ばれるチベット人女性が警官から理由もなく激しい暴力を受けた。
デモに参加したものたちの中には拘束を恐れ、再び山に逃げたものもいるという。
参照:4月24日付けRFA英語版
同チベット語版
4月25日付けTibet Timesチベット語版
チベットでは昔からミラレパを始め多くの修行者が瞑想のために山に籠ったものだ。今では罪もない人々が当局の逮捕を逃れるために大勢山に隠っている。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)