チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年2月7日
<速報>今年初めての焼身抗議 2児の父・在家修行者
昨年12月19日以来、1ヶ月半ほど焼身のニュースが途絶え、もうチベットの焼身は終わったのか?と思われていたが、昨日再び新たな焼身のニュースが入り、このあまい思いは覆された。弾圧の状況が変わらない限り焼身は続くかもしれない。
焼身が起ったのは2月5日午後9時半頃、場所はアムド、ツォロ(青海省黄南チベット族自治州)レゴン地区ツェコク県ドカルモ郷(རེབ་གོང་ཁུལ་རྩེ་ཁོག་རྫོང་རྡོ་དཀར་མོ་ཞང། 澤庫県多禾茂鄉)にある第二ペンチェン学校の前という。
焼身者の名前と年齢について、RFAはパクモ・サムドゥプ(འཕགས་མོ་བསམ་འགྲུབ།)、29歳と伝え、Tibet Timesはパクモ・サムドゥプと最初に書きながら次にはパクパ・キャプと表記し、年齢は27歳とする。Tibet Timesはさらに、彼は在家の修行者(སྔགས་པ།)であり、結婚し男女2人の父であるとする。
目撃者の話しによれば、彼が焼身後、間もなくして部隊が駆けつけ、火を消しツェコクの方向に連れ去ったという。また、「火傷の程度ははげしく、生きる望みはないだろう」と伝えた人もいる。
当局はこの事件の後、地域の情報網を遮断し、6日の朝からツェコク県やレゴン県に大勢の部隊を配備し厳重な警戒を敷いている。
今回焼身があったドカルモ郷では2012年11月から12月にかけ、連続して4人が焼身している。今回でこの郷内の焼身は5人となった。
2009年以降の内地焼身者126人目。外地5人を合わせ131人。この内、これまでに死亡が確認されている者は110人。
追記1:ロンドンベースのチベット支援団体Free Tibetによれば、パクモ・ドゥンドゥプはその場で死亡したという(未確認情報)。
追記2:2月9日現在、他のチベット系メディアはいずれもパクモ・ドゥンドップの死亡を報じていない。
その他参照:2月6日付けRFAチベット語版
同中国語版
2月6日付けTibet Post英語版
同中国語版
2月7日付けphayul
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)