チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年1月31日
春節:装甲車であふれるダンゴ
今日は中国の春節(正月)である。2年前の春節は1月23日であった。その日カム、カンゼ州ダンゴでは、中国政府のチベット人弾圧に抗議しチベットの自由を求めるチベット人数百人が警察署の前でデモを行った。
これに対し、当局は無差別発砲で応じ、その場で2人が死亡、30人以上が被弾した。デモの後、逮捕を恐れ多くのチベット人が山に逃げた。当局は山狩りを行い、それによりさらに2人が銃殺された。デモ参加者の多くが逮捕され、数十人が無期を含む懲役刑を言い渡された。
中国の武力鎮圧により、多くの犠牲者を出したこのデモの記念日とも言える今年の春節を前に当局はダンゴのチベット人たちを怖れさせるために、街中にたくさんの装甲車を配備した。
「1月26日、たくさんの武装車両が(ダンゴ)県に到着した。街の通りを行き来し、緊張した弾圧の雰囲気をつくり出している」、「昼夜を問わず大通りで軍事演習を行い、チベット人を威嚇している」と現地から報告される。
「通りではチベット人の身分証のチェックが行われている」、「通りや食堂内で2、3人のチベット人が集まっているところを見つけると警察が直ぐに飛んで来て解散させている」という。
この状態を写した写真を伝えた、ロンドンベースの団体Free Tibet の代表Eleanor Byrne-Rosengrenは「自分たちの権利を訴えるチベット人の平和的抗議に対する中国の答えは『力』でしかない」とコメントする。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)