チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2014年1月19日

イリハム・トフティ准教授の即時釈放を求めネット署名運動始まる

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img_1488540_63836708_0写真左より王力雄、ツェリン・ウーセル、イリハム・トフティ。

ウイグル人の人権擁護を訴え続けているウイグル人知識人イリハム・トフティ中央民族大学准教授は、これまでにも何度も中国当局に拘束されている。今月15日、彼は再び自宅から当局により連行された。彼の居所や連行理由は一切公表されず、当局は単に「法律に違反した疑いにより拘束した」と発表している。

彼の連行と同時に彼の生徒6人も拘束された。また、彼の家の前には10人以上の監視員が張り込み、妻と2人の息子は「自宅監禁状態」にあると言わる。

これに対し、アメリカ政府は次の日、「イリハム・トフティの拘束は中国政府の政策や行動に対し平和的手段で異議を訴える弁護士、活動家、ジャーナリストたちを逮捕するという一連の憂慮すべきパターンの一部である」として中国政府を非難し、即座に彼を解放することを求めた。されにEUも同様の非難を17日に発表した。

これに対し中国政府はいつものように、「中国の法律は神聖にして厳正なものであり、我々は法律に従って彼を拘束しただけである。他国が人権を口実に内政干渉することは決して許されない」と応じている。

イリハム・トフティ教授の盟友である作家王力雄が中心となり、妻のツェリン・ウーセルや中国内外の学者、文化人が彼の解放を訴えるための署名活動を開始した。

以下は在大阪の作家、翻訳家であり、王力雄やウーセルの友人でもある劉燕子さんが日本語でこの署名活動に協力を訴えられているものである。是非この署名活動に協力して頂きたいと思う次第である。

諸先生。こんばんは。
産経新聞に拙文が掲載された翌日、15日、中央民族大学のウイグル人准教授、穏健派の知識人、イリハム・トフティ氏が、天安門突入炎上事件はテロと決めつけるべきでないなどと発言し、拘束されました。
産経掲載の拙文は、このサイト

 イリハム氏は1969年生まれで、経済的発展により近代的市民意識が広まり、民主化が実現すればウイグル問題も解決するとの考えで、中国語のサイト「ウイグル・オンライン」の創設者です。2009年の「ウルムチ事件=7・5流血事件」のとき、彼も拘束されましたが、王力雄氏が中心となりイリハム氏の支援活動が起こされ、8月に釈放されました。

 そして、昨日、王力雄氏、ツェリン・オーセル女史たちは、彼の釈放をアピールしました。今日までの二日間で、内外から500名以上の署名者となりました。

 アピールの要点は、イリハム氏は2006年に「ウイグル・オンライン」を創設したが、数回も閉鎖されても、それを続けてきました。それは中国語で新彊問題の真実を知るための重要な窓口です。彼はウイグル人と漢人の間を橋渡しする貴重な存在です。そして、次のことを呼びかけます。

1.当局は説得力のある事実と証拠を示せ。言論を理由に罪を負わせるのは止めよ。そうでないならば、即時釈放せよ。

2.本人と家族の自由、基本的人権を守れ。弁護士の選任や面会を許可せよ。
 2008年のラサ事件、2009年のウルムチ事件から今日までの中国の民族政策の失敗は明らかである。イリハム氏の逮捕は、ますます政策の誤りに拍車をかけるだけである。全ての中国人は、問題の追及や真相の究明の権利がある。また、自分の未来に責任を負うべきである。

 他の国の国民も同様な権利がある。何故なら、ウイグル人の苦しみは人類の苦しみであり、中国の将来の災禍は世界に及ぶ危険性がある。
 賛同の意志を署名で表すことを念願する。

署名のサイト
 
署名を確認できるサイト
 
感謝を込めて。 劉

参照:1月17日付けRFA英語版

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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