チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年1月17日
高僧等の解放を求め刑務所前で500人が座り込み
16日付けRFA等によれば、ナンチェンの僧侶や地元民約500人が拘束された高僧の解放を求め、刑務所の前で座り込みを行った。
青海省ジェクンド(ケグド、玉樹)州ナンチェン県チャパ僧院の高僧ケンポ・カルツェ(又はケンポ・カルマ・ツェワン)は去年12月6日に成都で拘束され、チベット自治区チャムドに連行された。12月18日には彼の解放を求め、チャパ僧院の僧侶約300人と地区の住民約200人が、「師を失った弟子たちの苦しみを知ってほしい」と書かれた横断幕を掲げ、ナンチェンへと行進を始めた。このときの行進の様子が写された貴重なビデオが海外に伝わった。
3日後にはこのデモに参加した16人が連行された。この内7人はしばらくして解放されたが、残る9人のチャパ僧院僧侶は依然拘束されたままである。
1月15日午前11時頃から、彼ら9人が拘束されていると思われる、ナンチェン県の刑務所の前にチャパ僧院僧侶約60人を含む約500人のチベット人が集まり、拘束されているケンポ・カルツェと彼の解放を求めて拘束された9人の僧侶の解放を求め、無期限の座り込みハンストを始めた。また、彼らは拘束されている9人への面会と衣食を渡すことも要求した。
数時間後、彼らの前に、ナンチェン県保安部の責任者が現れ、「5日間以内にケンポ・カルツェの現状を報告し、拘束されている9人の僧侶を解放する」ことを約束したという。また、RFA英語版によれば、チャパ僧院僧侶たちに対し、拘束されている仲間への面会を許可したという。
ケンポ・カルツェは地区で絶大な人気を持つ高僧であり、彼の拘束が長引けば、彼の解放を求める運動が続く可能性が高い。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)