チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2014年1月3日
ダライ・ラマ法王 西暦新年のお言葉
謹賀新年! 今年もチベットのこと、よろしくお願いします!
ダライ・ラマ法王は1月2日、南インドのセラ僧院で10日間に渡る18種ラムリンの講義を終えられ、今日は3万人の参加者に観音菩薩の灌頂を授けられる。
1月1日には、講義の前に内外マルカム地区チベット人による、法王の長寿を祈る「テンシュク」と呼ばれる儀式が行われた。最初に法王は西暦新年を祝い、すべての有情の幸せを祈ると共に外人参加者に向かって、以下のように語られた。
「新年が幸せな年となるか、苦しみの年になるかは自分たちにかかっている。新年の決意としてこう考えるといいだろう。2014年の元日に、今年一年、自分は最上の心と共に、愛情と慈悲のある人になろう、と。まず最初に自分自身の心を平安にすることに努め、その次に他の人々の心を平安にすることに努めるなら、今年はその人にとって良い年になるであろう」と。
テンシュクの際には法王本人の長寿だけでなく、「ガンデン・ティパを始め、名のあるラマ、リンポチェたち、特に日夜弟子たちのために仏教講義を行っている教師たちの長寿を祈るべきだ。真に今仏教を広めるているのは彼らであるからだ」と述べられ、さらに「世界中で人々を助けるために働いている人々の長寿も祈るべきだ」とおっしゃった。
そして、チベットでこれまでチベットのために命を捧げた人々、今も獄中で苦しんでいる人々に祈りを捧げるべきと言われ、特に焼身者について、「他に選択の余地なく、焼身する人が沢山いる。彼らのために必ず祈りを捧げるべきだ。これらはもう起ってしまったことだ。この焼身がチベット問題を利するか、利さないのか、ということは大きな質問だ。私たちは中道路線に沿って努力している。中国と友人になることでチベット問題を解決することを考えている。現実的であるべきだ。
何れにせよ、彼らはかくの如くの勇気と共に命を投げ出した。このように自らの命を投げ出す勇気のあるものなら、回りの誰かを道連れにするということも簡単にできたであろう。そうしないということは、彼らがチベット仏教が教える非暴力に深い確信を持っており、その教えに従い運動を実行しているということを明らかに示している」と語られた。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)