チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年12月19日
<速報>アムチョクで新たな焼身抗議 内地124人目
今日(12月19日)現地時間午後2時半頃、甘粛省甘南チベット族自治州サンチュ県アムチョク鎮の路上でアムチョク僧院僧侶ツルティム・ギャンツォ(ཚུལ་ཁྲིམས་རྒྱལ་མཚོ།)、43歳が焼身抗議を行い、その場で死亡した。
遺体は部隊に奪われることなく、チベット人たちによりアムチョク僧院に運び込まれ、現在400人ほどの僧侶が集まり法要が営まれているという。
焼身時に彼が何か叫んだのかについては伝わっていないが、彼が短い遺書を残したことは確認されている。その中で彼は「中国の圧政の下にチベット人が苦しみを味わっている今、ダライ・ラマ法王がチベットにお帰りになり、パンチェン・ラマ11世が解放されるため、600万チベット人の苦しみが晴らされるために自分は焼身する」と焼身の目的を明記し、また「チベット人の団結」も願っている。
ツルティム・ギャンツォはアムチョク僧院ギュパ学堂の僧侶、43歳。サンチュ県アムチョク鎮ニマルン村の出身。父(故人)の名はタムディン・タシ、母の名はラモ・キ。彼は僧院でもまじめで優秀な模範的僧侶として知られていたという。
本土焼身者124人目。内死亡107人目。内外合わせ129人目、内死亡110人。
アムチョク鎮での焼身抗議は5人目。
追記:23日付けRFAによれば、僧ツルティム・ギャンツォの遺体はその日、午後8時頃、当局が強引に奪い去り、すぐに電気火葬場で火葬し、遺灰だけを家族に渡したという。
参照:12月19日付けTibet Timesチベット語版
12月19日付けTibet Expressチベット語版
12月19日付けphayul
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)