チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年12月19日
16歳の少年が「チベットには自由がない」と張り紙 逮捕・行方不明
最近のディル県
RFA等が18日までに伝えたところによれば、11月末、緊張が続くチベット自治区ナクチュ地区ディル県で1人の若者が「チベットには自由がない」と書かれた張り紙を政府施設の前に張り出し、翌日逮捕された。
ディル県チャクツェ郷ディタック村出身のソナム・ドルジェ(RFAはソナム・トプギェルと)16歳は24日(RFAだけは25日と報告)の夜中、郷公民館のドア付近に何枚かの張り紙を張った。
その公民館はそのころ昼間、政治的再教育の場となり、「辺境作業チーム」の事務所とも宿泊所ともなっていた。ソナムは彼らが中で寝ている間に外の壁に張り紙を張ったのだ。
張り紙には「チベットには自由がない」と大きく書かれ、宗教弾圧、環境破壊等についても書かれていたという。彼はまた、張り紙の下に自分の名前を署名していた。翌日、彼は逮捕され、その後行方不明のままという。
ソナム・ドルジェの家族は遊牧民であるが、彼は学校には通っていたことがあるという。
今年9月以来、ディル県は当局による重点的政治弾圧の対象となり、至る所に新設されたチェックポストで住民は徹底的に検査され、携帯をチェックされている。村々を役人、警官、部隊が巡り、家屋に押し入り強制捜査を行い、継続的に政治教育が続けられているという。
参照:12月18日付けRFA中国語版
12月18日付けTibet Timesチベット語版
12月18日付けTibet Expressチベット語版
12月18日付けphayul
12月18日付けVOTチベット語放送分
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)