チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年12月17日
ペマで焼身に関連した逮捕続く 焼身者への供養を願った女性教師免職、拘束、暴行、入院
アキョン僧院僧侶2人連行
11月11日、ゴロ州ペマ県でアキョン僧院僧侶ツェリン・ギェル(20)が法王帰還、チベット人の自由、チベット人の団結を訴え焼身を行ったのち、ペマ県では厳しい規制が続いている。11月20日頃には彼の焼身に関わったとしてアキョン僧院僧侶3人を含む7人のチベット人が拘束、行方不明となっている。
さらに、12月9日の夜中、アキョン僧院に突然部隊が押し掛けデロ・キャプとチュパ・キャプという2人の僧侶を連行したという。拘留場所や拘束理由等は不明である。
僧ツェリン・ギェル
焼身者の写真を持っていた高僧を指名手配
これとは別に、ペマ県一帯で有名な高僧であり、県内24の僧院が加盟する「ペマ文化発揚協会」の会長でもあるチョクリ僧院のケンポ・イシェ・ニンボが指名手配された。彼は常々チベット文化保全を唱える高僧であり、チベット語による出版に力を入れていた。このことで、以前より当局から睨まれていた。
12月1日、彼がペマに入る前の橋のチェックポストで車よりだされ、何の説明もなくめった打ちにされたという。その日、ケンポの家には警官が押し寄せ、彼を逮捕しようとしたが、彼はその時留守で目的は果たせず、その後、彼を指名手配したという。
情報によれば、ケンポがWeChat上に焼身者であるツェリン・ギェルの写真を保持していたからという。ケンポ・イシェ・ニンボは現在身を隠す生活を余儀なくされている。
焼身者の写真を持っていた女性教師を免職、拘束、暴行、入院
ケンポ・イシェ・ニンボが指名手配されたあと、今度は学校のチベット語女性教師であるヤンツォが同じくWeChat上に焼身者の写真を保持していたとして、拘束された。彼女はケンポ・イシェ・ニンボとも繋がりがあり、ツェリン・ギェルが焼身したあと、彼の写真とともに彼への祈りを上げて欲しいというメッセージをWeChat上に流したと言われる。
彼女は拘束後激しい暴力を受け、その結果現在病院に収容されているという。また、彼女は教師の職を首になった。
その他参照:12月16日付けRFA中国語版
同チベット語版
12月16日VOTチベット語放送分
12月17日付けphayul
中国ではチベット文化を守ろうとすれば逮捕され、痛い目に遭わされ、ある期間社会から消される。
中国では亡き人(焼身者)の写真を持っていたり、冥福を祈ったことが分かると逮捕され、死ぬほど殴られる。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)