チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年12月15日
環境問題と汚職をテーマにした映画を制作上映し7人拘束
12日付けRFA等によれば、12月中に青海省ジェクンド(ケグド、ユシュ、玉樹)州ティンドゥ県ダトゥ(称多县扎朵镇)で地元のチベット人たちが作った映画の上映会があった。
その内容は政府を風刺するものであり、上・下巻に別れ、上巻においては環境問題を、下巻においては政府役人、警官等の汚職問題をテーマとしていた。
この上映を知った警察はすぐに映画制作に関わり、中で演技も行っていた7人のチベット人を拘束した。警官は「こんな事実が上のものたちに知れたら、俺たちは首になるだろ」と言ったそうだ。
結局、7人の内6人が500元の罰金、1人が1000元の罰金を払い解放された。
映画は上映とコピー販売が禁止された。
その他参照:12月14日付けVOT中国語版
習近平さんは汚職摘発を掲げられている。環境問題は世界のテーマである。という意味で、このチベット人たちが作った映画は時代のニーズにあったものだったわけだ。役人や警官はあからさまに「自分たちの隠し事をばらしたからお前たちを逮捕する」と言ってる。そして、何の罪もない、むしろ汚職摘発に功績のあったものから罰金も取る。二重取りである。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)