チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年11月12日
昨日焼身した僧ツェリン・ギェルが亡くなる 内地焼身死亡者105人目
Tibet Timesによれば、昨日11月11日に青海省ゴロ州ペマ県で焼身したアキョン僧院僧侶ツェリン・ギェルは午後10時頃西寧の病院に転送される途中で死亡した。これで内地焼身者122人の内105人が亡くなったことになる。
昨日中に伝えられた追加情報を昨日のブログに<追記>してある。
遺体は夜中の12時頃にアキョン僧院に運び込まれた。今回は当局は病院への同伴者も承諾し、遺体もおとなしくチベット側に引き渡したようだ。アキョン僧院には現在近くの僧院僧侶や地域のチベット人が大勢集まり法要が行われているという。当局も部隊を街や僧院に派遣し警戒を行っている。
彼はペマの街の中心にある八葉蓮華モニュメントの近くで焼身し、政府庁舎に向かって10歩ほど歩き倒れたという。その時「ダライ・ラマ法王よ思し召しあれ!རྒྱལ་བ་བསྟན་འཛིན་རྒྱ་མཚོ་མཁྱེན།」と叫んだと伝えられる。
同じ場所で2012年12月3日、僧ロプサン・ゲンドゥン(29)が焼身している。
彼は焼身の前に遺書を残していた。この遺書を手書きで写したというものが外に伝わった。焼身の目的は「内外のチベット人が再び一緒になれるためだ」と書かれていた。これにはもちろんダライ・ラマの帰還が含まれている。
以下その全文訳:
私が今日焼身を行うのは内外のチベット人が再び一緒になれるためだ。チベット人同士団結し、チベット語(会話)と文字、慣習、伝統をしっかり守ってくれることが私の望みだ。そうすれば内外のチベット人が再び再会できると信じる。
慰問のため僧ツェリン・ギェルの実家にチベット人たちが集まる。
内地焼身抗議発生地等地図(Tsampa Revolution制作)。画像、写真をクリックすれば何れも大きくなる。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)