チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年11月1日
デモに参加したとしてゴロの僧侶に7年の刑
10月31日付けTibet Timesによれば、中国当局は青海省ゴロ州ペマ県ディンダ郷の僧侶に祖国分裂を企てたとして7年の刑を言い渡した。
去年3月中にペマ県ディンダ郷キンダ村出身の僧ツェヤンが警察に連行され、その後1ヶ月ほど行方不明となっていた。4月に入りツェヤンの母方の叔父の下に四川省カンゼ県の警察署から手紙が届いた。その中には僧ツェヤンが2008年以降カンゼやバルカム、ンガバで抗議デモに参加し、特にンガバではデモの先頭に立って抗議の声を上げたこと、これにより祖国分裂罪で7年の刑が確定したことが書かれていた。
23歳になる僧ツェヤンの父は早くに亡くなり、母と兄弟3人が暮らしていた。母も家の壁が崩れた時その下敷きとなり死亡した。以前より貧しかった上に母も亡くなり、兄弟3人はその後乞食状態となり放浪を余儀なくされた。長男のタシ・チュドゥップは15歳の時から行方不明のままであり、次男のニマ・ウーセルもゴロの各地を乞食状態で放浪しているという。
僧ツェヤンは幼い時、家が火事になり、頭、手足に酷い火傷を負った。その時は付近のチベット人たちの援助で治療を受けることができ、やっと死を逃れることができたという。その後、ペマ県にある、恵まれない子供や障害を持つ子供たちを保護する「チベット語愛護学校 (བོད་ཡིག་བྱམས་སྐྱོང་སློབ་གྲྭ)」という私設の施設に預けられた。ここに6年いたが、文字を習えないということで学校から出された。その後、僧侶となり、セルタ県のンガリク・ナンテン・ロプリン僧院に入ったが、1ヶ月もしない内に様々な困難に遭い、ここも出て、その後放浪を続けながら、各地の抗議デモに参加していた。
その他参照:11月1日付けphayul 僧ツェヤンの年齢を33歳と記している。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)