チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2013年10月24日

第53回TCV創立記念日

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TCV
昨日、10月23日は毎年恒例のTCV創立記念日であった。街中のチベット人がTCVグランドに集まり、子供たちの演技を楽しみ、その後昼食ピクニックに興じた。数年前からダライ・ラマ法王はもうお出にならなくなり、その代わりギャワ・カルマパが来られるようになっている。

TCV(チベット子供村)は1960年、法王の意志を受け、法王の妹さんであるツェリン・ドルマさんが責任者となり、最初、道路工事に従事する親たちの子供51人を集めて始められた。若くして亡くなられたツェリン・ドルマさんの死後同じく法王の妹さんであるジェツン・ペマさんが責任者となられ、TCVを今のような大きな組織にされた。彼女も数年前に引退された。今の代表はツェワン・イシェ氏である。

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記念式典の最初に最近焼身抗議で亡くなられたチベット人を始めとする、すべてのチベットのために犠牲となった人々のために黙祷が捧げられた。そして、チベット国歌斉唱。

その後は現代表であるツェワン・イシェ、議会議長ペンパ・ツェリン、首相ロプサン・センゲが順次スピーチ。

ツェワン・イシェ氏はまず、簡単にTCVの歴史を紹介した後、「今年の10年生(高校1年)のインド全体試験にTCV8校から862人が受験し、819人が合格、43人が不合格、合格率95%。12年生(高校3年)の全体試験には5校の生徒699人が参加、612人が合格、再試70人、不合格17人、合格率87.55であった」と合格率を誇示。その他、南インドに開校した「(通称)ダライ・ラマ大学」も正式に大学の認定を受けたとこ、中国語のクラスも始まったとこ等を報告した。

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議会議長のペンパ・ツェリン氏は「TCVは現在14000人の生徒、教師、職員を合わせ16000人を擁する非常に重要な組織である。現在までに約4万人が卒業している。教師、職員たちが苦労してここまで育て上げたことを大いに評価する」「今後とも、特に勉強だけでなく、良き人格を育てることに努力して頂きたい」と述べ、ついでに「議会は法王の唱える中道路線を最上の道と認識し、これを堅持する」ということも付け足した。

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首相のロプサン・センゲ氏は「亡命政府の中にはこのTCV出身の沢山いる。例えば、政府職員616人の内194人がTCV出である。この2年間に試験を経て採用された政府職員56人の内、35人はTCV出であった。約60%がTCV出ということになる」といい、最近ますます、生徒たちの成績が向上していることを具体的な例を上げ賞賛。政府も教育資金を増やし、今後修士、博士課程に進む学生を増やす計画であると述べる。

また、「良き生活のためだけを目的に勉強せず、あなたたちには特別の責任、闘うという責任、チベットの危機を救うという責任があることを忘れてはならない」とも述べる。

最後にジョークで「TCVのモットーは『他者優先』。明日から運動会があるが、競争でもしも負けたら『他者優先』で負けてやったのだ、と言えばいい」と。

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ギャワ・カルマパ

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中学生によるマスゲーム

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人文字 WE SALUTE OUR MARTYRS(殉教者に敬礼)

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SPREAD LOVE AND COMPASSION(愛と慈悲を広めよう)

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小学校の生徒たちによる、歌と演技『お母さんを思い出し、悲しくなった」。

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泣いてるところ。

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高校生による、チベット伝統歌舞。

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各クラスが掲げる創作バナー。これは「境界を越え調和しよう」

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「敵見方を分けず愛情を注ごう」

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演技が終わり、解散。

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オロを見かける

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太鼓を持つのは映画『オロ』にも出演してた、ケルサン・ニマ。

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式典が終わり、TCVの寺に向かうギャワ・カルマパ。

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終わった後はダル湖のほとりでピクニック。ルンタレストラングループ。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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