チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年10月17日
ディル県出身の主婦が路上で突然警官に連行され失踪
RFAその他によれば、10月11日午前11時頃、チベット自治区ナクチュの高原路にある���琼旅館(མཐོ་སྒང་ལམ་བདེ་འབྱང་མགྲོན་ཁང་།)の入り口付近で地元警官によりディル県ツァラ郷(རྩ་ལ་ཤང་། 比如县扎拉乡)第一村出身のケルサン(སྐལ་བཟང་།)と呼ばれる女性が拉致された。
これを知った彼女の親戚、友人たちが警察所に行き、何故彼女が連行されたのかを尋ねた。しかし、警察側は彼女がどこにいるのかを知らせず、また捜査が終わるまで何も話すことはないと突っぱねた。
彼女は3人の娘を持つ、主婦であり、特に政治的な活動はまったくしていなかったという。ただ、彼女のことをよく知る人の話しによれば、彼女は「we chat」の中でディルの状況について話しをしたり、ダライ・ラマ法王の写真を載せたりしていたという。また、携帯の中に当局により政治的と思われているチベット人の歌をダウンロードしていたとも言われており、これらが連行された理由ではないかと思われている。
中国ではwe chat等のソーシャルサイトはすべてチェックされており、ほんのちょっとした反政府的言動、または情報流布により、誰でもいつでも逮捕される可能性があるということである。逮捕されればその後拷問を受けることはほぼ間違いない。
参照:10月16日付けTibet Expressチベット語版
10月17日付けTibet Timesチベット語版
10月16日付けRFA中国語版
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)