チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年10月10日
ディルで再び部隊が抗議の村人たちに発砲 3人死亡 / 1人の老人が自由を求める声を上げ 2年5ヶ月の刑
RFA等が在ベルギーのチベット人、ディル県出身のサンペルが写真と共に伝えたとして報じるところによれば、10月8日、ディル県ダタン郷シャリ村(达塘乡森塘村)で当局の五星紅旗を掲げさせる等の愛国教育に抗議し村人たちがデモを行い、これに対し部隊が発砲、3人が被弾、死亡したという。死亡した3人の氏名等詳細は未だ伝わっていない。
10月6日には同じくダタン郷第四村で部隊の発砲により60人が負傷している。負傷した者の内、重傷者はラサの病院に運び込まれたが、彼らを見舞いに行ったチベット人の内、これまでに4人が行方不明となっているという。
参照:10月9日付けRFA中国語版
10月9日付けVOT中国語版
同チベット語放送
ディルで1人の老人が自由を求める声を上げ 2年5ヶ月の刑 拷問の末入院
9月3日、ディル県ツァチュ郷でチベット自治区政府主催の政治宣伝を目的とした歌舞集会が行われ、チベット人たちは五星紅旗を振り、笑顔を浮かべることを強要された。その最中、ツァチュ郷ダンラ・ルド村のダヤン(ཟླ་གཡང།)という68歳の老人が1人立ち上がり「チベットは自由で独立した国だ!ダライ・ラマ法王に長寿を!中国人はチベットから出て行け!」と叫んだ。
彼はその後、家に帰ることができたが、夜中2時頃、突然彼の家に警官が押し入り彼を連行した。数日後、彼がディル県立病院に入院していることが判明した。明らかに暴行を受け負傷したと思われる。
最近、彼に2年5ヶ月の刑が言い渡されたことが判明。10月7日からはラサの人民病院に移送された。厳重な監視下にあり、誰も近づけず、病状も不明のままという。
ICTによれば、このダヤンへの暴行と拘束に抗議したツァチュの住民に対し部隊が暴力を振い約100人が負傷したという。しかし、負傷した人々は治療のために病院に行くことが禁止されているともいう。
参照:10月8日付けRFAチベット語版
10月8日付けTCHRDリリース
10月9日付けTibet Times チベット語版
10月9日付けVOT中国語版
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)