チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年10月7日
緊張が続くディル県で部隊が発砲、2人被弾
中国当局の徹底的な愛国・愛党教育キャンペーンが始まったチベット自治区ディル県では、中国国旗掲揚を拒否するチベット人の抵抗運動や、キャンペーンを非難する生徒たちの大規模な抗議デモが発生し、緊張が高まっている。
10月7日付けTibet Timesによれば、6日、ディル県ダタン郷ウタン村のドルジェ・ダクツェルというチベット人が突然当局により連行され、これを知った村人たちが彼の解放を求めるために役場前に集まった。しかし、役人たちは話しをするどころか、部隊を呼び彼らを蹴散らそうとした。
部隊は集まった村人たちに向かい催涙弾と共に、実弾を発射。これにより、タシ・ギェルともう1人のチベット人が足や手に被弾、負傷したという。
先月10日からディル県にはこのキャンペーンのために18000人の役人と10000人の部隊が派遣されているという。当局はこのキャンペーンに抗議したチベット人を連日拘束していると伝えられているが、発砲事件の報告は初めてである。
中国内で漢人のデモに対し部隊が発砲するということはまずないが、チベットや新疆ウイグルではこんな些細な村人たちの抗議の集団に対しても部隊は容易に発砲する。
参照:10月7日付けTibet Times チベット語版
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)