チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年10月2日
ディルで中国国旗掲揚・政治教育に抗議 拘束者多数
10月1日付けRFA等によれば、9月28日(27日との情報もあり)、チベット自治区ナクチュ地区ディル県で愛国キャンペーンに抗議したチベット人40人が拘束された。
9月10日からディル県一帯で当局による新たな愛国キャンペーンが始まった。このキャンペーンでは中国共産党に忠誠を示すことを強要されるだけでなく、各家と僧院に中国国旗を掲げなければならないとされた。
早朝中国国旗を掲揚し、夕方にはこれを下ろすことが求められ、国旗を丁寧に扱い損傷しないという責任も課された。これを守らない時には、「その家族の子供が学校に通うこともできず、病院にも行けず、冬虫夏草を採取することも禁止される」と脅されたという。
この強引で厳しいやり方に反発し、モワ郷ではチベット人が川に国旗を流し、役人や警官たちと3時間に渡り、石を投げ合うという衝突が起った。その後、部隊が出動し40人のチベット人が連行された。
これを知った村人約800人が県庁舎の前に押し掛け連行された40人の解放を要求し、その夜そのまま路上で座り(寝)込みを始めた。ある情報によれば、この後チベット自治区の高官が地区に来て、40人を解放したという。
現在地区一帯に緊張が高まり、厳重な警戒態勢が敷かれ、チベット人の移動が禁止され、道路も閉鎖され、電話、ネットも遮断されているという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)