チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年9月27日
チベット人政治犯 拷問の末入院 治療費負担で家族は極貧に
24日付けRFAによれば、カンゼでデモを行い9年の刑を受けていた僧侶が、最近容態が悪化したとして一時的に解放され病院に収用された。家族はすでに4ヶ月間その治療費を払い続けることにより、貧困のどん底に陥っているという。
現地からRFAに伝えられた情報によれば、カンゼ県にあるベリ僧院の僧侶ロドゥ・パルデンは2008年に他の2人の僧侶とともに、カンゼの街中でチベットの自由とダライ・ラマ法王帰還を求めるスローガンを叫ぶデモを行い、その場で逮捕された。
「パルデンはデモの首謀者とされ、カンゼ、ダルツェンド、その他の拘置所に収監され、尋問中に激しい拷問を受けた」と匿名希望の報告者は話す。
その後、カンゼ県の裁判所は、彼に9年の刑を与えた。4年後、彼の容態は悪化し、成都の病院に送られた。
「入院して4ヶ月経つが、彼の容態は危険なままだと言われている。そして、積上る治療費負担により元々貧しかった家族は極貧状態に陥っている」と報告者は伝える。
尋問時や刑務所内の拷問や劣悪な環境により受刑者が危険な状態になると、病院に運ばれるが、その治療費は家族が払わねばならない。もし死亡しても、当局はなんの責任も問われない。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)