チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年9月21日
国際ペンクラブがチベットの危機的状況に関する決議文を採択
9月9日から12日までアイスランドの首都レイキャヴィークで行われた第79回国際ペンクラブ総会において、「チベットの危機的状況」に関する7か条の決議文が採択された。
この決議文には、現在収監されているすべてのチベット人歌手、作家、芸術家の即時解放、チベット人作家に対する規制緩和、120人に及ぶ焼身抗議の原因精査、市民的及び政治的権利に関する国際規約批准とこれを中国の法律中に含めること、等を中国政府に要求するという項目が含まれていた。
この決議文の草案はペン海外チベット作家協会から派遣されたロプサン・チュダックとウーセルによって提出されたものであった。
「中国から派遣された代表団がいる前でこの決議文がメンバーにより採択されたのを目撃するのは素晴らしい体験だった」とウーセルは語る。
この決議文のコピーは国連を初め、国際機関、各国政府とリーダーたちに送られるという。
第79回国際ペンクラブ総会には世界70各国から190人の代表者が集まったが、中国ペンクラブからも6人が参加していた。
会議ではインドとビルマに新たな支部を作ることが採択され、世界中の表現の自由と刑務所に囚われている作家の状況について話し合われた。
国際ペンクラブは1921年にロンドンで結成され、現在世界中に144の支部を持つ。ペン海外チベット人作家協会は2002年に承認され、現在90人以上のメンバーがいる。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)