チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年9月16日
ザチュカ、ウォンポ僧院僧侶3人に4年までの刑
16日付けTCHRD(チベット民主人権センター)リリース によれば、今月9日と11日にカム、ザチュカ(རྫ་ཆུ་ཁ་ 四川省カンゼチベット族自治州石渠県)ウォンポ(དབོན་པོ་)僧院僧侶2人に4年、1人に3年の刑が言い渡された。
カム、ザチュカ地区では2008年以降、抗議デモが続いていたが、2012年2月4日にウォンポ郷の小学校の校庭に掲げてあった中国国旗が引き下ろされ、代わりにチベット国旗が掲揚されるという事件があった。さらに2012年9月7日にも同様の事件があり、その時には回りに赤いインクで「チベット自由བོད་རང་དབང」と書かれた紙切れが撒かれていた。
10月に入り当局はウォンポ郷に大勢の警察と軍隊を送り込み、僧院や民家を捜索し、再教育集会を行い、僧侶や俗人を相次ぎ大勢拘束した。今回刑が確定した3人はその時に拘束された僧侶たちである。
9月9日、僧チュダル(47)に3年の刑が言い渡された。罪状は不明。チュダルは2010年10月に他2人の僧と一緒に拘束された。他の2人の僧は後に3年の政治的権利剥奪を受け解放されている。チュダルは現在カンゼ州ミニャック地区のラガ刑務所に収監されている。
9月11日、僧ソナム・ゴンポ(22)とソナム・チュダル(22)に4年の刑が言い渡された。彼らは2012年12月15日に拘束されていた。彼らの罪状も未だ不明。
ウォンポ僧院は2008年以降、僧院内に中国国旗を掲げることを拒否するなど抵抗の姿勢を露にし、僧院と回りの村は当局の弾圧の対象となっていた。当局がウォンボ郷の民家を捜査した時、家の中からダライ・ラマ法王の写真が見つかり、その写真を部隊が足で踏みにじったことに怒り、抗議の印にトリ・ラモという1人の女性が首つり自殺を行い、死亡したという事件も起っている。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)