チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年9月2日
第53回チベット民主主義記念日
今朝、ダラムサラでは「第53回チベット民主主義記念日」のイベントが行われた。
これは、53年前の今日、ダライ・ラマ法王の指導により将来の完全民主化を目指し、ダラムサラで第一回の議会が開かれたことを記念するものである。
記念式典はまず、ドラマスクール楽隊が演奏するチベット国歌に合わせ、チベット亡命政府ロプサン・センゲ首相がチベット国旗を掲揚することにより始まった。
民主主義については「すでに2500年前に、釈迦牟尼仏陀もサンガ(僧侶集団)の中で社会的平等と民主的プロセスという革命的概念を導入されていた」と話す。
また、「ダライ・ラマ法王はすでに17歳の時、チベット内で『改革委員会』を立ち上げ、貧しいチベット人を救済するために税金を引き下げ、土地を再分配するという計画を発表された。しかし、この計画は内外の要因により達成されることはなかった」と法王が若いときから、社会改革、民主化への熱意をもたれていたと続けた。
チベットの現状については「周知の如く、チベットでは厳しい状況が続いている。悲しいことに、これまでに内地で120人のチベット人が焼身抗議を行った。今年に入ってからもすでに22人が焼身している。この内103人が死亡している。このような状況を解決するには、中国政府がチベット人の真の意志を尊重することである。つまり、チベット人に自由を与え、ダライ・ラマ法王をチベットに招くことである」と明言する。
中国との対話については「対話により平和的に問題を解決するためには『中道路線』が最適な方策であると強く確信する」と繰り返し、対話について内輪で話し合う「第26回特別委員会を近く開催する」と言う。この委員会に今回から前首相であるサムドン・リンポチェも加わることが発表されている。
その他、「最近亡命社会内で横領や強姦事件が発生している。チベット人としての自覚を忘れず、このようなことが2度と起らないように気を付けてほしい」とも語った。
次に議会議長が、最近の中国当局による弾圧状況を具体的にまとめて報告し、中国政府を強く非難するスピーチを行った。
と、これで演説は終わり、次に参加者の多くが今日の楽しみとして待っていた、「民主主義記念日を祝す歌と踊りの会」が始まった。
今回の出演は少なめでドラマスクールが3種、その他TCVの生徒とソガスクールの生徒が歌と踊りを披露した。
以下、その写真等。これはという写真はクリック拡大。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)