チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2013年8月29日
レゴンの人気歌手に5年の刑
チベット人歌手への弾圧が続いている。RFAによれば、青海省黄南チベット族自治州中級人民法院は最近、秘密裁判によりレゴンの人気歌手シャオ・タシ(ཤྭ་བོ་བཀྲ་ཤིས།40)に5年の刑を言い渡した。彼は焼身抗議者の写真等の情報を広め、政治的に禁止されたテーマについて歌ったとされた。
現地と連絡をとった、在ヨーロッパのチベット人ソナムがRFAに伝えたところによれば、シャオ・タシは「2012年11月7日にレゴン県ドワ郷で焼身、死亡したタムディン・ツォ(23)の最後の言葉を上書きした写真を流布し、抗議デモに参加し、チベット人アイデンティティーに関する歌を歌った」ために刑を受けたという。
判決の正確な日時や罪状は未だ不明。「彼の家族も刑を受けたと最近聞かされるまで、彼がどこにいるのか、どんな健康状態なのかについてまったく知らなかった」という。現在彼は西寧の刑務所に収監されている。彼は去年11月中に拘束され、その後行方不明となっていた。
シャオ・タシはレゴン県ドワ郷ドチョク村の出身。若いときから才能ある歌手として注目され、多くのCDを発表している。特に彼がダライ・ラマ法王のことを歌った「遥かなる父」という歌はチベット人の間で非常にポピュラーな歌となっていた。その他、環境保護、母語擁護、チベット人団結を訴える歌を多く発表している。
焼身抗議に関連したとされるチベット人歌手の逮捕、受刑が続いている。今年2月にはンガバの歌手チャクドルとペマ・ティンレーがそれぞれ2年の刑を受け、先月中頃、ラサでマチュの歌手ケルサン・ヤーペルが逮捕されている。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)